雑誌『キネマ旬報』12月下旬号に、自分の方法論についての文章を書きました。「ドキュメンタリー、ドキュメンタリー作家の多様性」と題する特集の一環です。
http://www.kinejun.com/kinema/index.html
以下は、本稿の出だし部分の抜粋です。
「観察映画シリーズ」と銘打って、ドキュメンタリー映画を作っている。これまでに、選挙運動を観察した『選挙』(07年公開、観察映画第一弾)と、精神科診療所の世界を描いた『精神』(09年公開、同第二弾)を発表した。現在、平田オリザ氏と青年団を被写体にした『演劇(仮題)』(同第三弾)を製作中である。
観察映画の方法論的特徴として、撮影する前にテーマ設定をしないことが挙げられる。リサーチを最小限にとどめ、構成台本も書かず、目の前の現実をつぶさに観察しながら、行き当たりばったりで撮影をする。事前にいろいろ決めると、それが先入観や足枷となって、予定調和的な作品になってしまうからである。編集の際にも、先にテーマを決めない。映像素材を何度も観察し、試行錯誤を繰り返しながら、自らの視点を定めて行く。そして、その結果を映画にしていく。
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