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Latest documentary "Oyster Factory" has been officially invited to Locarno International Film Festival 2015! 最新作『牡蠣工場』がロカルノ国際映画祭へ正式招待されました!

Wednesday, November 26, 2008

『精神』関係者試写会をやりました

11月22日、岡山で『精神』の関係者向け試写会を行った。映画に登場してくれた患者さん、医師、スタッフ、ボランティアの方々に初めて作品を見せる会だったので、どんな反応が出るのか、正直言って、試写会をやろうと決めたその日から、いや、カメラを回し始めてからずっと不安だった。というよりも、恐怖を感じた。

特に今回は、普通ならモザイクがかけられてしまう精神科の患者さんが、大勢素顔で登場している。普段から自殺願望を抱えている人も少なくなく、映画を公開することで何が起こるか分からない、最悪の事態になったらどうしよう、というのが僕の偽らざる心境だった。

でも、もっと不安だったのは被写体の人々、特に病を抱える当事者の方々だったと思う。自分が出た映画を観たい、いや、どんな風に撮られてるのか不安だから観たくない、そういう揺れ動く心をみんなが経験したと聞いた。実際、「絶対行かない」と公言していた人が直前になって観ようと決意し、会場に来てくれたケースもあれば、その逆もあった。

診療所の患者さんと仕事をする義母は、そうなることを予め見越し「みんなの命を守らにゃいけん」と、試写会前後の支援体勢について色々な手配をしてくれた。診療所のスタッフの方々も、試写会に向けて万全の環境を整えてくれた。

それでも、当日が僕にとって一種のクライシス、危機的状況になるであろうことは、容易に想像できた。詳しいことは後で本にする予定だし、ここには書かないが、実際、これまでの人生でも最大級の修羅場になった。質疑応答の際に、とある患者さんに激しく問い詰められたときは、心底、気が動転したし、その場に立っているのがやっとだった。でも、僕は気を取り直して自分の考えや気持ちを正直に伝えた。他の参加者もそれぞれの意見や感想を述べた。そして、議論するうちに最後にはお互い分かり合えた気がするし、僕を問い詰めた患者さんの表情や言葉も明るくなった。一種のカタルシス。雨降って、地固まった。全身の力が抜けた。

23日には山本先生への3時間に渡るロング・インタビュー、映画に登場してくれた当事者5人の座談会、義母と義父へのインタビューを行った。先に触れた関連書籍に盛り込むためである。

映画を撮ってる最中にも、山本先生にはいろいろ聞きたいことがあったのだが、当事者中心の映画にしたかったから、敢えて聞かずにいた。それがやっと実現できて、いろんな発見もあって、嬉しかった。山本先生は、やっぱり偉大な人だと思う。

当事者の座談会は、試写会後の質疑応答とはうって変わって、和やかな雰囲気で進められた。前の日に僕を厳しく追及した患者さんも、時には泣きながら、時には笑いながら、自分の心境や境遇を改めて語ってくれた。僕は心からホッとした。この映画を撮って良かったと、改めて思った。

映画美学校で講座

12月2日(火)、映画美学校の公開講座「ノンフィクション講座」にゲスト講師として呼ばれています。僕がニューヨークのSVAという美大の映画学科で作った初期の劇映画や、テレビ用のドキュメンタリー作品等を上映しながら、観察映画に取り組むに至った動機や道筋などについて語ります。講座の主である代島治彦氏との対話の形で進行していきます。

一般にも公開されている講座ですので、ぜひご参加を!!!

http://www.eigabigakkou.com/public/index18.html

Tuesday, November 18, 2008

ロボット演劇『働く私』

大阪で平田オリザ氏の新作『働く私』の稽古を撮って、いま新幹線で帰京しているところです(イーモバイルっつーのを勧められて買ったんだけど、新幹線でもパソコンをネットにつなげてスゲー便利。トンネルではさすがに切れちゃうんだけどね)。

『働く私』は、なんとロボット2体と人間の俳優2人がお芝居をするという、世界初の試み。ロボットは三菱重工製のWakamaruというモデルなんだけど、動きや声の抑揚が細かくプログラミングできるので、平田さんの台詞を役者さんと一緒に「演じる」と、ホント、生きてるみたいだった。

http://fringe.jp/topics/2008/10/261.html

Tuesday, November 11, 2008

青年団の撮影、再び

昨日から青年団の撮影を再開した。昨日は、夏から稽古している『冒険王』の仕込み。アゴラ劇場が工事中で、もの凄い騒音の中、搬入やセット・会場作りが行われた。

今回の滞在では、『冒険王』の他、新作『サンタクロース会議』や、世界初のロボットを使った演劇『働く私』の舞台裏と本番を撮影させてもらう予定。

早目に終わったので、筑紫哲也さんの2時間追悼番組に間に合った。前日に見つかった筑紫さんの日記「残日録」を軸にした、凄い番組だった。見終わった後で、番組が出来る過程を後でご家族から聞いて、奇跡的に出来た番組だったんだなあと胸が震えた。改めて、惜しい人に逝かれてしまいました…。

Friday, November 07, 2008

筑紫哲也さん

7日の朝、筑紫哲也さんが亡くなった。
ショックで呆然とするしかない。
東大新聞に籍を置き、ジャーナリストを目指していた頃から、
尊敬し憧れていた。
僕にとってのヒーローだった。
いつかいい仕事をして、番組にゲストとして呼んでもらうんだと、
密かに自分の目標というか、夢にしていた。
もちろん、おこがましくてそんなことはこれまで誰にも言ったことはない。
ところが『選挙』がベルリン映画祭で公開されたとき、
ニュース23で取り上げてもらえた。
あのときは本当に驚いたし、ただならぬ感慨を憶えた。
スタジオには呼んでもらえなかったけど、
人生の新しい章が開いたような気がした。
結局、一度もお目にかかれなかった。
この喪失は大き過ぎる。
僕にとっても、日本にとっても。
明日東京へ向かうので、お別れを言いに行きたいです。

Wednesday, November 05, 2008

Obama Wins

歓喜というよりも、ホッとしました。マケインが勝ったら、本気でアメリカを引き揚げるつもりだったし。それにしても、8年間のダメージは大きかった…。二つの泥沼戦争、未曾有の経済危機、貧富の差の拡大、恐るべき赤字財政…。

アメリカ人、はっきり言って気付くの遅過ぎる。しかし、永遠に気付かないよりはずっといい。乾杯。

Tuesday, November 04, 2008

台湾にて In Taiwan









11月2日から、台湾国際ドキュメンタリー映画祭に出席するため、台湾第3の都市・台中に来ている。摂氏27度!未だにここは夏である。

3日の朝、さっそく他の審査員との顔合わせ。インターナショナル・長編映画コンペティション部門の審査員は僕を含め3人。映画監督のミカエル・ヴェッター氏(65歳のメキシコ在住オーストリア人)、映画監督で台湾国家文化芸術基金所長の黄明川氏(52歳の台湾人)、そして僕(38歳)である。3つの世代が集まったねえ〜と言いながら、朝食ミーティング。

14カ国から集まった15本の作品を4日間で観て、グランプリ1本と次席2本を選ぶ。この前のPBSの番組審査委員会でも思ったけど、他人の作品を審査するというのは、本当に難しい。映画を観た直後にちょっと話しただけでも、他の審査員とは意見が割れる。

結局は、映画を作った人の主観と、選ぶ側の主観が入り乱れ、火花を散らしてぶつかり、共倒れになった落ちどころで順位が決まるような感じ。いずれにせよ、好き嫌いが影響する極めて主観的な作業であり、絶対に科学的ではない。しかし、どの映画を選ぶかで、その映画の運命を左右してしまうようなこともあるから、いい加減には決められない。

その一方で、3日には『精神』の上映があった。釜山での受賞がニュースとして流れていたせいか、上映前から長い行列ができ、場内は満員。
http://www.tidf.org.tw/2008/ch/news_detail.php?&uid=28

上映後もお客さんのほとんどが残ってくれ、白熱した質疑応答が展開された。出された質問は、「あのような診療所は日本では典型的なのか?」「どうやって撮影許可を得たのか?」「被写体にあれほど心を開いてもらえた秘訣は?」「音楽を使わない理由は?」などなど。

観客の主流は、20代らしき若者。とくに女性が多い印象を受けた。質疑応答が時間切れで打ち切られた後も、ロビーでお客さんに取り囲まれ、美術館の閉館で追い出されるまで延々と議論を続けた。『選挙』の上映ときは、ガハハと笑ってハイ解散、という感じが多かったけれど、『精神』はいつまでも議論が尽きない傾向にある気がした。それは正に僕の望むところであるから、時間が許す限りとことん語り合おうと思う。

http://www.tidf.org.tw/2008/ch/news_detail.php?&uid=45

4日には、SVA映画学科時代の盟友で今は台湾に帰っている撮影監督のルーク・チェンとその家族が、僕に会いにわざわざ台北から来てくれた。ルークは僕が学生時代に撮った作品のほとんどで撮影監督(カメラマン)をやってくれた、いわば同じ釜の飯を食った仲である。もうすぐ2歳になる娘さんに初めて会った。ルークは「俺、コイツが幸せなら何がどうなっても全然かまわない」とか言って、娘にメロメロ…。あのルークがねえ、と、彼の髭に白髪が交じっているのをマジマジと見つめながら、深い感慨に包まれた。なんにせよ、親子三人でホントに幸せそうで、心から良かったなあと、僕は感動せずにはおられなかったのである。

Saturday, November 01, 2008

Taiwan Int, Documentary Film Festival

So, I'm heading to Taiwan International Documentary Festival (Oct 31 - Nov 9, 2008). MENTAL will be screened twice, and I'll be at the Q&A session each time. I'll be a jury member for the competition section as well. I'm looking forward to seeing Luke Chen, my pal and DP from film school in NY.
http://www.tidf.org.tw/2008/en/programone.php?&uid=102&fcid=7
Asian Network of Documentary Section
Screening dates: Nov 3 at 19:30 and Nov 5 at 18:30

明日から台湾へ行きます。台湾国際ドキュメンタリー映画祭に出席するためです。『精神』の上映は2回あり、質疑応答もあります。
11月3日(19時半)および11月5日(18時半)。僕はコンペ部門の審査員も務めます。NYの映画学校で一緒だった、相棒で撮影監督のルーク・チェンに久々に会えるのが楽しみです。
http://www.tidf.org.tw/2008/en/programone.php?&uid=102&fcid=7

Wednesday, October 29, 2008

Festival Updates for MENTAL

MENTAL will be invited to the following festivals.
I'm attending Taiwan and Dubai for sure. I'll serve as a jury member in Taiwan, too.

Taiwan International Documentary Film Festival (Oct 31 - Nov 9, 2008)
http://www.tidf.org.tw/2008/en/programone.php?&uid=102&fcid=7
Asian Network of Documentary Section
Screening dates: Nov 3 at 19:30 and Nov 5 at 18:30

Dubai International Film Festival (Dec 11 - 18, 2008)
http://www.dubaifilmfest.com/
Competition Section
Screening dates: TBA

Jogjakarta Indonesia Documentary Film Festival (Dec 7 - 14, 2008)
http://festivalfilmdokumenter.org/
Screening dates: TBA

Buenos Aires Independent Film Festival (Mar 25 - Apr 5, 2009)
http://www.bafici.gov.ar/inscripcion.php
Screening dates: TBA

『精神』がこれから参加することが決まっている映画祭です。台湾とドバイには僕も参加します。台湾では、審査員も務める予定です。

台湾国際ドキュメンタリー映画祭 (Oct 31 - Nov 9, 2008)
http://www.tidf.org.tw/2008/en/programone.php?&uid=102&fcid=7
Asian Network of Documentary Section
上映日程: 11月3日19時30分 5日18時30分

ドバイ国際映画祭 (Dec 11 - 18, 2008)
http://www.dubaifilmfest.com/
コンペティション部門
上映日程:未定

ジョグジャカルタ・インドネシア国際ドキュメンタリー映画祭 (Dec 7 - 14, 2008)
http://festivalfilmdokumenter.org/
上映日程:未定

ブエノスアイレス国際映画祭 (Mar 25 - Apr 5, 2009)
http://www.bafici.gov.ar/inscripcion.php
上映日程:未定

Tuesday, October 28, 2008

共同通信とB&H



昨日(27日)はNYの3番街にある共同通信社で『精神』についてのインタビューを受けた。映画の話をしているうちに、話題は僕が左翼的な学生新聞の編集長だった時代や、思いつきでNYに渡った経緯などにまでさかのぼり、時間にして1時間半に及んだ(写真)。

最後の方で記者のK氏が、「これだけ話を詳しく聞いても、どれだけ紙面に載せれるかは分からないんですよ。新聞社は短い記事を好むので、長いとなかなか載らない。かといって短いと内容が伝わらない。そういうジレンマがあります」と言われた。

ドキュメンタリーと一緒だなと思った。『選挙』も120分フルバージョンはテレビで流れないので、52分バージョンを作った。映画を半分以下にするのには抵抗があったけど、フルバージョンをちゃんとキープするという前提なら、決して悪いことではないと思った。記事もいろんなバージョンを作れたらいいのかもしれないなあ。

インタビューの後、歩いてB&Hまで行き、MacBook Proを買った。実は最新型を買おうかと思っていたんだけど、Firewere400のポートがないし、ディスプレイがGlossyしか選べないので、ひとつ前の型を買った。しかも新型が発売されたお陰で、先週から数百ドルも値段が下がったそうで、めちゃくちゃお得な気がした。

B&Hでは仲の良い友達AがAppleの技術者として働いているので、あれこれ雑談しながら買い物できて面白い。僕があれもこれもとアクセサリーを買おうとすると、「それはXXがよくない」「そんなのOOで代替できる」となかなか買わせてくれない。増設メモリーも、「自分でやればタダだよ。オレが後で教えるから自分でやれよ」と言いはる。お前さん、この店の売上げに貢献しなくていいの?と思い途中から笑えてきた。友達とは、有り難いものである。

Friday, October 24, 2008

CaMPAIGN at MIT - cool japan!






MIT(マサチューセッツ工科大学)とハーバードのジョイント企画「Cool Japan」の一環として、MITで『選挙』の上映と質疑応答をしてきた。

僕とカミさんを呼んでくれたのは、MITの准教授で文化人類学者のイアン・コンドリー氏。ヒップホップやアニメを素材に日本文化を研究している面白い学者さんである。日本語も達者!どうしたらそんなことまで知ってるの?といぶかしくなるくらい、日本のポップカルチャーに精通しておられるので舌を巻いた。でもホントに気さくなお兄さんで、すぐに打ち解けた。

実は、『選挙』をベストコメディに選んでくれたライムスターの宇多丸さんや放送作家の古川さんともマブダチだそうで、世の中の狭さを実感したなあ。
http://playlog.jp/rhymester/blog/archive/200610

イアンさんのアニメのクラスにも参上し、一席ぶった(笑)。

また、軽い夕食を囲んで行われた学生さんとのレセプションでも、一席ぶった(笑)。みんな理系の学生さんだけど、質問も矢継ぎ早に出て、結構盛り上がった。

2泊3日のゆったりとしたスケジュールだったので、夫婦でボストンも堪能できた。真っ先に出掛けたボストン美術館で目をひいたのは、ゴッホの絵だった。『精神』の世界とめちゃくちゃ重なる。こんな所で知らぬ間に繋がっていたのかと、ちょっと驚いた。

そして、同じ部屋にあったドガのバレエ・シリーズは、僕が青年団を描こうとしているのと同じ発想だなと思った。いや、あっちが先だから、僕が知らぬ間に影響を受けていたということなんだろう。

意識しようとしまいと、芸術のジャンルは形を変えて何度も繰り返される。本当のオリジナルなんて、ないのかもしれない。そのことを人ごとのように実感させられた。

Monday, October 20, 2008

CAMPAIGN at MIT

Tomorrow (Oct 21), we're going to MIT in Boston to attend a screening of CAMPAIGN as a part of Cool Japan event. See you there!

明日10月21日は、ボストンのMIT(マサチューセッツ工科大学)で、『選挙』の上映と質疑応答をします。『選挙』のイベントに行くのは久しぶり!

Date: Tuesday October 21, 2008
Time: 7:00-10:00 PM
Location:
MIT 32-141 (Stata Center)
32 Vassar Street
Cambridge, MA
02139

http://web.mit.edu/cooljapan/events.html#1

Tuesday, October 14, 2008

予告編映画祭で4位! 4th Place at Trailer Festival

『精神』の予告編が、新作映画の予告編ばかりを集め横浜で行われた「予告編ZEN映画祭」で、35作品中、第4位に輝きました。
http://www.trailerfes.jp/pg56.html

以下、予告編映画祭による講評です。「本来、硬派で、とっつきにくい印象を与えがちですが、「精神」は小気味よい米国映画的な編集手法で、観る者をいつのまにか作品に引き込みます。2008年釜山国際映画祭では最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しました。」

『精神』の予告編はこちら。
http://www.laboratoryx.us/mentaljp/trailer.html

Friday, October 10, 2008

バラエティ・ジャパン Variety Japan

受賞について、バラエティ・ジャパンに記事が載りました!
An article about the award is on Variety Japan (in Japanese)

http://www.varietyjapan.com/news/movie/2k1u7d00000ehb78.html

受賞についてのプレスリリース

日本の配給を担当するアステア社からのリリースです。

ーーーーー

ドキュメンタリー映画『選挙』(観察映画第1弾)で話題を呼んだ想田和弘監督の観察映画第2弾『精神』(135分、カラー、2008年、ラボラトリーX社製作、英語題名:MENTAL)が、10月2日から10日まで開かれているアジア最大規模の第13回釜山国際映画祭で、最優秀ドキュメンタリー賞(PIFF Mecenat Award)を受賞。想田監督には、賞金1千万ウォンが贈られました。

本作は、アジア発のドキュメンタリー製作を支援する釜山国際映画祭AND基金の助成を受け、この秋完成。同映画祭のワイド・アングル・セクションのドキュメンタリー・コンペティション部門に正式出品され、世界初公開を遂げていました。3日と6日に行われた上映はいずれもチケットが完売。上映後の質疑応答では、観客から質問や意見が殺到し、予定していた40分間を大幅に超過し90分間に延長されるほど、白熱しました。

『精神』は、岡山県岡山市にある精神科の診療所を舞台に、患者や医師、スタッフ、ヘルパーなどが織りなす複雑な世界を赤裸々に描いた長編ドキュメンタリー映画。『選挙』同様、ナレーションやテロップなどによる説明や音楽を一切使わず、心の病に苦しむ人々の素顔や彼らを取り巻く世界に肉薄しました。

想田監督は受賞について、「全く期待していなかったので驚きましたが、大変光栄です。勇気を持って素顔で映画に出てくれた患者さんたちや、撮影に全面協力してくれたスタッフの皆さんに感謝しています。」と話しています。

日本での公開は、2009年の初夏を予定。『選挙』も手がけたアステアが配給・宣伝を担当し、東京のイメージ・フォーラムを皮切りに全国の劇場で順次公開する予定です。

MENTAL won at Pusan 釜山で最優秀ドキュメンタリー賞!




『精神』が釜山映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞(PIFF Mecenat Award)をいただきました。すごく嬉しいです。

実は今日の閉会式に出るため、釜山に舞い戻りました。
明日、日本へ帰る予定です。

審査員による受賞理由の説明は、次の通りです。

<「正常」と「『正常』によって『異常』と呼ばれるもの」の間に幕を引くのがこの映画の趣旨である。しかし、それだけではない。山本医師の診療所という美しい劇場の幕があき、喜びと悲しみを湛えた美しい人物たちがゆっくりと世界を膨らます。>

MENTAL won the best documentary award (PIFF Mecenat Award) at Pusan International Film Festival! I'm so happy.

I returned to Pusan to attend the closing ceremony tonight.
I'll return to Tokyo tomorrow.

NOTE by Jury:
To draw the curtain between normality and what normality calls abnormality is the purpose of this film. But more than that, the curtain is drawn upon a beautiful theater, Yamamoto’s office, where beautiful characters slowly enlarge the world with their joyful sadness

Photos by PIFF

Wednesday, October 08, 2008

World-Premiere at Pusan




We're back from Pusan Film Festival after a busy, fruitful 5-day-trip.

The main event for me was the screenings of MENTAL on Oct 3 and Oct 6. It was the world-premiere. Both screenings were sold-out with lots of young audience in 20's. The Q&A session after the screening on 3rd was remarkable - it was supposed to be 40 minutes, but it lasted for an hour and a half with lots of questions and comments until people almost missed their last train. It was joined by some staff members of Chorale Okayama Clinic and Kicchako, the organizations where the film was shot.

Unlike Q&A of CAMPAIGN where I and Yama-san spoke like stand-up comedians, the Q&A session of MENTAL was more serious with some tears in the audience. Every question was so deep and heavy that I felt I cannot answer lightly. Especially, I was moved when one of the audience members said crying in tears, "I'm suffering from depression, and have not been able to go outside for a long time. But my doctor suggested that I try to attend Pusan Film Festival everyday to watch films. The first ticket I bought was of MENTAL, and I'm glad I did that because it was really touching and enjoyable as I expected. I want many people to see your movie."

There was no Q&A after the 2nd screening, but a lot of viewers came up to me crying in the lobby and thanked me for making the movie. Many of them confessed to me that they suffer from mental illnesses. I was really surprised and thrilled because I was most worried about the reactions of people who are ill. A young girl crying in tears said to me that she had never seen such a film and would never forget about today, which made me cry, too.

One of the ladies said that she suffers from illness for 20 years now, and tried to kill herself for so many times. She seemed to love the film so much and thanked me so many times, so I thanked her back many times. Using her mobile phone, she called her sister living in Japan and let me speak to her as well. She said she is also suffering from illness explaining their hardships in their childhood, and promised me that she will watch MENTAL when released in Japan.

To be honest, I was a bit worried that viewers who are ill may end up feeling worse if they watched this film. I was also worried that some people may criticize me that I'm exploiting sick people by showing the film. But I got the feeling that the audience who enjoyed and appreciated the film most were patients. Now I finally feel that I'm glad that I made this movie.

By the way, MENTAL is in Documentary Competition. They will announce the winners in the closing ceremony on October 10th.


釜山国際映画祭から帰って来た。駆け足の釜山滞在だったが、実り多かった。

メイン・イベントは、10月3日と6日に行われた『精神』の上映。世界で初めての公開である。幸い2日ともチケットは完売。釜山映画祭らしく、20代らしき若い層が多かった。3日の上映後に行われた質疑応答は、観客からの質問が矢継ぎ早に出て来て、予定の40分を大幅に超過。終わってみれば終電ギリギリまで1時間半も続いた。映画の舞台となったこらーる診療所や喫茶去のスタッフも駆けつけてくれて、本当に白熱した。

『選挙』のときは、上映後の質疑応答は僕と山さんの漫才のごとく進んだが、『精神』は内容が内容なだけに、笑いながらも涙ぐむ人が多かった。どの質問も深く重い内容で、「答える方もいい加減なことは言えない」と背筋がピンとなる思いだった。特に、とある若いお客さんが「鬱病でずっと家の外に出られない状態でしたが、医師と相談して、釜山映画祭に一週間通い続けることを目標にしました。そして最初に買ったのが『精神』のチケットでした。期待通りの映画で、感動しました。大勢の人に見てほしいです」と涙ながらに言ってくれたのが、印象的だった。

2回目の上映後は、質疑応答の予定はなかった。でも、ロビーで大勢のお客さんが僕に近づいて来て、目に涙を浮かべて「この映画を作ってくれてありがとう」と言ってくれた。その多くは、心の病を患っておられることを僕に告白した。僕は患者さんたちの反応が一番心配だったので、びっくりするやら嬉しいやら。「こんな映画は初めてです。今日のことを一生忘れません」と、止まらない涙に胸を詰まらせながら話してくれる人もいて、僕も思わず涙ぐんでしまった。

ある女性は20年間も心の病気を患っており、何度も自殺未遂を繰り返したという。よほど映画を気に入ってくれたようで、僕に何度もお礼を言うので、僕は「こちらこそ感謝しています」と繰り返した。彼女は日本に住んでいるお姉さんにその場で国際電話をかけ、僕にも代わってくれた。お姉さんも鬱病だそうで、電話口で、苦しかった家庭環境など病気になった経緯を教えてくれ、「日本で公開されたら絶対に観ます」と言ってくれた。

実は、病気の人がこの映画を観たら、病気がもっと重くなってしまうのではないか、と僕は密かに心配していた。また、「お前は病人を晒し者にするのか」という反発を受けるのではないか、という懸念も抱いていた。しかし実際には、一番この映画を熱心に、熱烈に観てくれたのは、患者さんたち当事者だったのではないか。この映画を作って良かったと、心の底から初めて思えた瞬間だった。

ところで、『精神』はドキュメンタリー部門のコンペに入っている。賞の発表は10日の閉会式で。

Wednesday, September 10, 2008

MENTAL at Pusan Film Festival


I'm excited to announce that my newly completed observational documentary MENTAL (Original title: SEISHIN, 2008, 135 minutes, color) has been officially invited to the competition of "Wide Angle" section of Pusan International Film Festival to be held from October 2nd until 10th. It's going to be a world premiere. I will attend the festival and my screenings.

http://www.piff.org/eng/html/program/prog_view.asp?idx=13166&target=&c_idx=16&m_entry_year=2008#

MENTAL is a feature-length documentary that observes the complex world of an outpatient mental health clinic in Japan, interwoven with patients, doctors, staff, volunteers, and home-helpers, in cinema-verite style, without using narration, super-imposed titles, or music. The film breaks a major taboo against discussing mental illness prevalent in Japanese society, and captures the candid lives of people coping with suicidal tendencies, poverty, a sense of shame, apprehension, and fear of society.

The film has received some grant from Asian Network of Documentary (AND) fund managed by Pusan International Film Festival. I will attend the award ceremony to be held during the festival.

The official website for MENTAL will be uploaded soon.

If you have any questions, please e-mail me at soda@laboratoryx.us.

Thank you!

Kazuhiro Soda

SCREENING SCHEDULE AT PUSAN FILM FESTIVAL

Friday, Oct 3 at 8 PM
Monday, Oct 6 at 1:30 PM

COMMENTS ON MENTAL

This observational film by Soda really questions the conventional boundary that separates the mentally ill and healthy people.
- Naomi Kawase, Film Director

The uncontrollable nature of our SEISHIN, or mind, is depicted in its raw form.
- Yuna Chikushi, Artist

Watching MENTAL, I smiled every 5 minutes, and cried 3 times. Without a doubt, it is a masterpiece. It is meant for people who can't help revering the human soul that is formless and mysterious.
- Dr. Shuhei Oyama, Psychiatrist

The handling of the subjects in this documentary requires tremendous sensitivity from the filmmaker. Even using the style of cinema verite, the director successfully presented his subjects without exploitation.
- AND Fund, Pusan International Film Festival


『選挙』に続く観察映画第2弾として監督した『精神』(英語題名:MENTAL、2008年、135分、カラー) が、10月2日から10日まで行われる釜山国際映画祭に正式招待されることが決定しましたのでお知らせします。ワイドアングル・セクションのコンペ部門に出品されます。今回が世界で初めての上映になります。私も2日に現地入りし、舞台挨拶等を行います。

http://www.piff.org/eng/html/program/prog_view.asp?idx=13166&target=&c_idx=16&m_entry_year=2008#

『精神』は、岡山県にある精神科の診療所を舞台にした長編ドキュメンタリー映画。『選挙』同様、ナレーションやテロップによる説明、音楽を一切使わないスタイルで、心の病を患う当事者、医者、スタッフ、作業所、ホームヘルパー、ボランティア等が織りなす複雑な世界を描きました。心の病に関するタブーに敢えて挑戦し、自殺願望や幻覚や生活苦に悩む当事者の素顔に虚心坦懐に迫ったつもりです。

同作は、アジアのドキュメンタリー制作と流通を支援する、2008年釜山国際映画祭AND(Asian Network of Documentary)助成金を授与され、製作されました。来る釜山国際映画祭では、その授与式も開催されます。
http://and.piff.org/eng/html/projects/documentary_view.asp?section=AND&column=&searchString=&this_year=2008&gotoPage=1&idx=76

『精神』公式サイトは近日中に完成予定です。

お問い合わせ等はメールにていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

想田和弘
soda@laboratoryx.us

<釜山での『精神』上映日程>

10月3日(金) 20時〜
10月6日(月) 13時30分〜

<『精神』に寄せられたコメント>

精神病患者と健常者の境がわからない。その境のありように疑いを持つのは、想田観察映画の特性だ。
ー 河瀬直美(映画監督)

精神とは心、若しくは心の持ち方とあるけども、その収拾のつかなさがそのまま映し出されている。様々な対象を身に遠く近く感じつつ、時折横切る野良猫が風穴のようにも見えてくる。
ー 筑紫ゆうな(アーティスト)

同じ題材を扱った映画のうちこの映画は三指に入る。いや正確に言えば二指である。一本はワイズマンによって四十年前に作られた。どちらも限りない人間の精神の地平線を目指した傑作だと断言できる。ワイズマンの映画同様一度見たら決して夢に見ることはあっても忘れることは出来ない。しかしワイズマンの映画には感心し笑うことしかできなかったが、この映画のなかでは5分おきににやっと笑い、三度涙を禁じえなかった。あえて言うが、この映画は精神を病んだもののために作られたものではない。まして人の精神を裁く者のためにも作られてもいない。ただ人間の無形の心とその不思議に対し畏敬の念を禁じえないもののために捧げられた映画なのである。
ー 大山修平(精神科医)

Tuesday, September 09, 2008

観察映画の日々

7月から、平田オリザ氏と青年団の撮影が続いている。

比較的順調に進んでいるのであるが、にもかかわらず、つくづく撮影とは難しいものだと、思い知らされる毎日である。

僕の観察映画の方法は、構成表と呼ばれる台本を書かずに、行き当たりばったりで撮影することにその基本がある。だからといって、次に起きるであろうことを全く予想せずにカメラを回すことは不可能である。

例えば今回の撮影なら、何時からどこどこでXXの稽古がある、というくらいの情報がなければ、僕はその場に居合わすことすらできない。だから、最低限の予測は必要である。かといって、あまり事前に予測しすぎると、目の前で起きている予想外の面白さに気づくのが遅れ、撮り損なってしまう。例えば、これから稽古を撮るんだと身構えていると、稽古以外の興味深い事件が目の前で起きても、一瞬反応が遅れる。それで事件の始まり部分を撮り逃がし、あとで地団駄を踏む憂き目にあう。

これがナレーションのある普通のドキュメンタリーなら、たとえ事件の発端を撮れなかったとしても、言葉でいくらでも説明できるので問題ない。しかし観察映画ではナレーションを使わないのが大前提なので、最初を逃したら途中から撮ってもシーンの文脈が分かりづらくなり、結局使えないのが常である。

予測しないのも駄目。予測しすぎても駄目。それは、野球のバッティングにも似ている。ヒットを打つために、次の球種やコースを読むのは大事だけれど、山をかけすぎると予想外の球に空振りさせられる。そして天を仰ぐことになる。取り返しのつかない過ちを激しく後悔しながら。だから、凡打が続いた後にクリーンヒットが出たときには、計り知れない快感を覚える。

ちなみに、野球と違って映画には編集作業という強力な武器があるので、僕はヒットばかりをつなぎ合わせて作品に仕立て上げる。あたかも凡打など打たなかったかのような顔をして。それが映画のマジックである。

Monday, September 08, 2008

働く日本人

日本に住んでる人は感じないのかもしれないけれど、たまに帰ってくると、日本人はなんてよく働くんだろうと感心させられる。いや、外国の人だって働く人は働くんだけど、日本人は報酬の高そうな人も低そうな人も、同じように一生懸命働くという印象がある。

例えば昨晩入ったうどん屋の店員さん。全部で20人くらいしか座れない小さなお店だけど、満員だとかなり忙しい。注文を聞いたり、料理を運んだり、会計をしたり、領収書を切ったり、盛りつけしたり、後片付けをしたり、料理を作る以外の仕事を彼女がすべて独りでこなしている。僕はカウンターに座ったので、彼女の一挙手一投足を観察できるのであるが、高度なマルチ・タスクをてきぱきと効率よく、パニックにも陥らずに、しかも丁寧にやってのける姿は感動的でさえあった。でも、店構えや値段から察するに、たぶん彼女はそう高い時給はもらっていないと思う。そして彼女のような働き手は、この国では別に珍しくもなんともない。

これがアメリカだったら、人は時給に応じた仕事しかしないのが普通だ。つまり時給700円の人は700円分しか仕事をしようとしないし、それが当然であるという姿勢。昨晩のうどん屋がアメリカにあったとしたら、あと二人は雇わないと普通に機能しないと思う。あるいは、「あと二人雇え」と現場が文句を言い、それが叶わなければ3人分の時給を要求するか、さっさと辞めていく。また、昨晩の店員さんのように仕事の出来る人は、すぐにもっと責任の重いポジションを与えられ昇給する。要するに純粋な資本主義では、仕事の内容と報酬の額は、基本的に一致するのである。

日本の場合は違う。報酬が低い人も、高い人と同じくらいの仕事の量と質を要求される。逆に言うと、いくら現場で一生懸命働いても、それがなかなか地位や給料に反映されない。雇う側や、お客さんにとっては天国のような仕組みだけれど、現場の労働者にかかる負担は並大抵ではない。

ここまで考えて、ニートと呼ばれる働きたくない人達が問題になっているのは、こういう風土に原因があるのではないかと思い至った。安い報酬でも一生懸命、長時間働くことを要求され、なかなか昇進も叶わない。もうすでにある程度の地位にある人ならいいのかもしれないけど、これから働き始めようという人には相当に厳しい現実だ。だから最初から働く気が失せてしまうのではないか。

まあ、だからといってアメリカ式が理想的かというと全然そうでもないから、難しい。時給が安いんだからと言わんばかりの横柄な態度で、全く働く気を感じさせない末端の労働者を毎日目にしていると、カネがすべてのこの社会は絶対におかしいと思わされる。

なかなかうまくはいかないものですね。