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Saturday, September 23, 2017

麻生副首相発言の真の問題

麻生太郎副首相が北朝鮮から逃れてくる大量の難民を想定した上で、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と発言し、批判されています。

「武装難民」という言葉は、たぶん麻生さんかネトウヨが捏造した言葉です。シリアから無数の難民が海を渡っていますが「武装難民」なんて言葉や事例、聞いたことないからです。(第三国に避難した難民が後に武装化する事例はありますが)。

難民は戦乱から命からがら逃げてくるから難民と呼ばれます。中には武装している人もいるかもしれませんが、それは身を守るためであって、避難先の国の人を襲うためではありません。そもそも海をボートで渡ってくる難民の多くは、水や食料も欠乏してフラフラで、すし詰めのボートの中で死んでしまう人も数多くいます。少し調べれば、そういう事例はいくらでもあります。

「武装」と「難民」を恣意的に合体させることは、「難民は私たちを襲って来る」という実態のない架空のイメージを作り上げて一人歩きさせる行為であり、デマを流通させるのと変わりません。

麻生副首相が「射殺」という言葉を使ったのも問題ですが、「武装難民」という言葉を使って広めてしまったことに、実はより深刻な問題が潜んでいると僕は思います。関東大震災で朝鮮人を虐殺し、しかもその歴史を隠蔽しようとしている日本社会で「武装難民」という言葉が広まることに、ただならぬ危機感を覚えます。


麻生副総理「警察か防衛出動か射殺か」 北朝鮮難民対策 (朝日新聞デジタル)
http://digital.asahi.com/articles/ASK9R6DCPK9RUTFK00J.html?iref=comtop_8_03

 麻生太郎副総理は23日、宇都宮市内での講演で、朝鮮半島から大量の難民が日本に押し寄せる可能性に触れたうえで、「武装難民かもしれない。警察で対応するのか。自衛隊、防衛出動か。射殺ですか。真剣に考えなければならない」と語った。
 麻生氏はシリアイラクの難民の事例を挙げ、「向こうから日本に難民が押し寄せてくる。動力のないボートだって潮流に乗って間違いなく漂着する。10万人単位をどこに収容するのか」と指摘。さらに「向こうは武装しているかもしれない」としたうえで「防衛出動」に言及した。
 防衛出動は、日本が直接攻撃を受けるか、その明白な危険が切迫している「武力攻撃事態」などの際に認められており、難民対応は想定していない。
 麻生氏は先月、「少なくとも(政治家になる)動機は問わない。結果が大事だ。何百万人も殺しちゃったヒトラーは、いくら動機が正しくてもダメなんだ」と発言し、撤回していた。