『演劇(仮)』の編集、だいぶ佳境に入ってきた。まだ完成までには道のりは長いが、出口がおぼろげながら見えて来た感じがする。そういうときはいつもそうだけど、ちょっと興奮している。
変な話、今日は編集機上で青年団の人々の営みを眺めながら、なんだか泣けてきた。べつに悲しい場面があるわけではない。むしろ逆である。それがなぜか泣ける。
僕は元々オリザさんや青年団のファンなので、彼らについての事前の知識を持っていて、それに縛られていたのかもしれない。そこから少し解放された感じがする。編集作業には何度かブレークスルーの瞬間があるものだけど、その第1波が今日来たってことかもしれない。いや、そうであって欲しい!
ドキュメンタリーを作る際に事前の知識=先入観に縛られてはダメだと、繰り返し述べてきて本まで書いたのに、やっぱり縛られて、苦しくなった。言うは易し、行うは難しである。とはいえ、言うことによって明確に意識しなければ、行うことは更に絶望的に難しいとも思う。
常に忘れちゃならないのは、僕が作っているのはアカデミックなレポートや記録ではなく、あくまでも映画なのだということ。
今日の編集中にブレークスルーらしきものが訪れたのは、なぜ僕が青年団と平田オリザ氏に惹かれてきたのか、その理由が初めて明確に判ったからかもしれない。逆に言うと、今の今までよく判ってなかったんだろうな。そのことに我ながら驚愕する。