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Latest documentary "Oyster Factory" has been officially invited to Locarno International Film Festival 2015! 最新作『牡蠣工場』がロカルノ国際映画祭へ正式招待されました!

Wednesday, June 24, 2009

毎日新聞朝刊


本日(25日)の毎日新聞朝刊に映画『精神』と拙著『精神病とモザイク』についてのコラム「ネコのあくび」が載っています。ぜひご覧下さい。Webでも読めます。
http://124.83.167.158/life/health/akubi/archive/news/20090625ddm013070132000c.html

以下、全文掲載です。

モザイク

 まるで廃虚のような地下の部屋で、コンクリートの床に座布団を敷いて「精神」という映画の試写会を見た。そこが東京駅の近くだとは信じがたいビルだった。

 苦しそうに涙を落としながら女性が吐き出す言葉を、山本昌知医師は何とはなしに聞いている。たばこを吸い続ける男性は高校生のころ1日18時間勉強し続けて発病した。「偽善者という言葉は、にんべんに為と書く。人のためにするのは偽りなんよ。自分のため、神様のためにするのが、本当の善なん」。詩人であり写真家でもあるという。子どもを死なせてしまったことを淡々と語る女性のシーンが延々と続いた時には、呼吸が苦しくなった。

 精神病患者のプライバシーを考えれば顔にモザイクがかかりそうなものだが、スクリーンに登場する人々はいずれも実名で顔をさらけ出している。「モザイクが守るのは、被写体ではなく、往々にして作り手の側である」「彼らを精神病患者という記号ではなく、人間として描きたい」と想田和弘監督は「精神病とモザイク」(中央法規)で述べる。それができたのは、山本医師が患者たちと長い歳月かけて築いた信頼があってこそなのだが、その山本医師は詩人の患者に「よくぞ10年間もいじめてくれたな」と言われたことがあるという。10年を返せないならこれを広めてほしい、と手渡された詩はこういう内容だった。

 「今のままでいい」と言う人に出会うまで変わることはできない。「今のあなたでいいんだ」という無条件の肯定的な関係の中でしか人間は伸びていかない。【野沢和弘】

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