Wednesday, June 03, 2015

『アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く 治水技術7年の記録』

以前、メルマガに書いた記事です。多くの方に読んでいただきたいので、ブログに転載します。

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 日本電波ニュース社が製作した『アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く 治水技術7年の記録』(谷津賢二監督、2012年、73分)というドキュメンタリーDVDを観ました。アフガニスタンで30年間、経済的に貧しい人たちの診療を続けてきたペシャワール会・中村哲医師らの活動を記録した作品です。
http://www.ndn-news.co.jp/shop/pickup/Kanbatsunodaichi.html

 『医者、井戸を掘る』(中村哲著、石風社)などを拝読し、中村医師らの活動には以前から畏敬の念を抱いていたのですが、このDVDで映し出された活動も、ホント、「す・ご・い」の一言です。中村医師は、戦乱をよそに黙々と木を植え続ける『木を植えた男』(ジャン・ジオノ著)を地でいく方だと思いました。いや、『木を植えた男』はフィクションですけど、中村氏はいまも活動中の実在の人物。カミさんいわく、平田オリザ氏に物腰やお顔がそっくりだというんですけどね(笑)。

 中村氏は長年アフガニスタンで無料診療を続けながら、ひとつの重大な事実に気づきます。診療所を訪れる人々が直面している根本的な問題は、干ばつによる飢餓と貧困だということです。干ばつのせいで農業が続けられず、村を放棄し、難民化する人々が多いのです。人々は医療うんぬん以前の問題で苦しんでいるわけです。 

 そこで中村医師は、白衣を脱ぎ、なんと用水路の建設に着手することを決意します。クナール河から水を引いて全長25.5キロにも及ぶ用水路を築き、帰農を促すのです。実現すれば3500ヘクタールの農地が回復し、15万以上人が農業に復帰できるという遠大な計画です。

 ところが、中村医師は土木技術については素人です。使えるお金もそれほどありません。そのため、いろいろと失敗もします。映像を観ていると、極めて無謀な挑戦のようにもみえます。

 しかし中村医師は決して諦めません。ブルドーザーを自ら運転し(!)、文字通り先頭に立って、淡々と土木工事を指揮します。一緒に泥まみれになって作業をするのは、干ばつのせいで村を放棄した元農民たちです。彼らにはペシャワール会から240円の日当が支払われるので、当面の生活を維持する足しになりますし、なんといっても農業を復活させ村に帰りたいという夢があります。

 用水路計画の吸引力たるや物凄く、難民化した人たちや、元武装勢力の一員だったという人たちも噂を聞きつけて合流するなど、延べ60万人が働くという一大事業になっていきます。中村医師らの長年の活動が、アフガニスタン人たちの信頼を得ていたことの証拠だと思います。

 建設工事の過程で、中村医師は土木技術についても勉強を重ねていき、ついには江戸時代の日本の治水技術に目をつけます。用水路の取水口に設ける堰の角度や、蛇籠や柳の木を使った伝統的な護岸技術を採用するのです。江戸時代の技術なら、ハイテクな機材やコストのかかるコンクリートを使わずに、人海戦術で用水路建設を進めることができるからです。

 その作戦は功を奏し、集中豪雨でも流れない、頑丈な用水路が完成。「マルワリード用水路」と名付けられます。マルワリード用水路は、木も草も生えないガンベリ砂漠にまで延び、新たな農地を創出します。そして15万人以上が農業に復帰しました。総工費は15億円。すべて日本人が寄付したお金だそうです。

 なんと素晴らしい!これほど創造的で地に足の着いた偉大な「国際貢献」があるでしょうか。久々に素直に感動してしまいました。

 折しも日本では安倍晋三政権が武力による「国際貢献」を唱えていますが、本当に空虚に聞こえます。というより、もし安倍氏が言うように自衛隊がアフガニスタンに派兵され、ペシャワール会のような医療団やらNGOを武力で守ったりしたら、逆に中村医師たちは危険に曝されるのです。

 以下は、「マガジン9」に掲載された2008年のインタビューです。少し長いですが紹介します。
http://www.magazine9.jp/interv/tetsu/tetsu.php

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編集部 現地では、NGOとか国際機関なんかが襲撃されるということは、かなりあるんですか?

中村 何回も、見聞きしたことはありますよ。でも、我々ペシャワール会が襲われたことは一度もありません

編集部 それだけ、ペシャワール会の活動が現地の方々に浸透しているということでしょうか。

中村 そうですね。アフガンの人たちは、親日感情がとても強いですしね。それに、我々は宗教というものを、大切にしてきましたから。

編集部 宗教とは、やはりイスラム教…。

中村 おおむね、狙われたのはイスラム教というものに無理解な活動、例えば、女性の権利を主張するための女性平等プログラムだとか。現地でそんなことをすると、まず女性が嫌がるんです。キリスト教の宣教でやっているんじゃないか、と思われたりして。

編集部 宗教的対立感情みたいなものですか?

中村 いや、対立感情は、むしろ援助する側が持っているような気がしますね。優越感を持っているわけですよ。ああいうおくれた宗教、おくれた習慣を是正してやろうという、僕から言わせれば思い上がり、もっときつくいえば、“帝国主義的”ですけどね。そういうところの団体が、かなり襲撃されています。民主主義を波及させるというお題目は正しいんでしょうけれど、やっていることは、ソ連がアフガン侵攻時に唱えていたことと五十歩百歩ですよ。

編集部 ペシャワール会は、そういうことからは無縁であったということですね。

中村 そうです。それに僕はやっぱり、日本の憲法、ことに憲法9条というものの存在も大きいと思っています。

編集部 憲法9条、ですか。

中村 ええ、9条です。昨年、アフガニスタンの外務大臣が日本を訪問しましたね。そのとき、彼が平和憲法に触れた発言をしていました。アフガンの人たちみんなが、平和憲法やとりわけ9条について知っているわけではありません。でも、外相は「日本にはそういう憲法がある。だから、アフガニスタンとしては、日本に軍事活動を期待しているわけではない。日本は民生分野で平和的な活動を通じて、我々のために素晴らしい活動をしてくれると信じている」というようなことを語っていたんですね。

編集部 平和国家日本、ですね。

中村 ある意味「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。日本人だけは、別格なんですよ。

編集部 日本人と他国の人たちを区別している?

中村 極端なことを言えば、欧米人に対してはまったく躊躇がない。白人をみれば「やっちゃえ」という感覚はありますよ。でもね、そういう日本人への見方というのも、最近はずいぶん変わってきたんです。

編集部 それは、なぜ、いつごろから、どのように変わってきたんですか?

中村 いちばんのキッカケは湾岸戦争。そして、もっとも身近なのは、もちろんアフガン空爆です。アメリカが要請してもいない段階で、日本は真っ先に空爆を支持し、その行動にすすんで貢献しようとした。その態度を見て、ガッカリしたアフガン人はほんとうに多かったんじゃないでしょうかね。

編集部 せっかくの親日感情が、そのために薄らいでしまったんですね。

中村 それでも、いまでもほかの国に比べたら、日本への感情はとても親しいものです。この感情を大事にしなければならないと思うんです。湾岸戦争のときに、「日本は血も汗も流さずお金だけばら撒いて、しかも国際社会から何の感謝もされなかった。それが、トラウマになっている」なんて、自民党の議員さんたちはよく言うようですけど、なんでそんなことがトラウマになるんですか。「お金の使い方が間違っていた」と言うのならいいのですが、「もっと血と汗を流せ」という方向へ行って、とうとうイラクへは自衛隊まで派遣してしまった。僕は、これはとても大きな転回点だったと思っています。

 これまでは、海外に軍事力を派遣しない、ということが日本の最大の国際貢献だったはずなのに、とうとうそれを破ってしまったんです。これは、戦争協力ですよね。そんなお金があるんだったら、福祉だの農業復興だの何だの、ほかに使い道はいくらでもあるというのに。

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 実際、『アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く』の中でも、用水路を作る人々の頭上を米軍のヘリコプターが何度も通り過ぎていきます。人々は、米軍に攻撃される危険を冒しながら作業に従事しているのです。あの編隊に自衛隊のヘリコプターやら戦闘機やらが加わったらどうなるのでしょうか。中村医師は、最近のインタビューでも次のように明言されています。

 「アフガニスタン人は多くの命を奪った米国を憎んでいます。日本が米国に加担することになれば、私はここで命を失いかねません。
安倍首相は記者会見で「(現状では)海外で活動するボランティアが襲われても、自衛隊は彼らを救うことはできない」と言ったそうですが、全く逆です。命を守るどころか、かえって危険です。私は逃げます。 9条は数百万人の日本人が血を流し、犠牲になって得た大いなる日本の遺産です。大切にしないと、亡くなった人たちが浮かばれません。9条に守られていたからこそ、私たちの活動も続けてこられたのです。私たちは冷静に考え直さなければなりません。」(2014年5月16日『西日本新聞』)

 いかがでしょうか。

 作品の後半、用水路が完成して農業に復帰し、嬉しそうに稲や芋の収穫をする人々の姿が映し出されます。僕はその様子を観ながら、「人間、水と大地と空気さえあれば、なんとか生きていけるのだなあ」と、なんとなく安心するような、肩の荷が下りるような、不思議な感慨に包まれました。人間が生きることって、本当は、すんごくシンプルなことなんじゃないでしょうか。

 翻って、日本の田舎では、人々が農業や村を捨て、都会に流出していくことが深刻な社会問題になっています。別に水がないわけではありません。それなのに「農業では生活できない」と言って、人々は村を去っていきます。それはなぜなんだろうと、改めて考えてしまいました。

 外国の都会に住んでいる僕が言えることではないのかもしれませんが、何か根本的におかしなことが起きている。それだけは間違いないように思います。

Friday, May 29, 2015

現在審議中の安保法制について

安保法制について「アエラ」から1時間ほど取材を受けた。僕が申し上げたのは、以下のようなポイント。

安倍政権が民主的理念やプロセスにまったく敬意を払わないことで一貫していて、したがって安保法制を通すプロセスにも重大な問題があること。

そうなることは12年に自民党改憲案が出された段階で十分に予想されたこと。

主権者の多数派は安保法制や改憲案には反対だが、安倍政権を倒そうというほどにまでは、残念ながらその点を重視していないこと。

安保法制が通ると、近い将来自衛隊は米軍の子分として「遠くの戦争」に駆り出されるであろうこと。

したがって自衛隊員の戦死者が出るなどして、最初は盛んに報道されるであろうこと。

しかしすぐにメディアも主権者にも飽きが来て、戦死者が出ても新聞のベタ記事にしかならなくなるであろうこと。

そのうちに、戦争に参加していることすら忘れ去られていくであろうこと。

そのように集団的自衛権の発動が既成事実化された上で、憲法改定の発議がなされるであろうこと。

中国と戦争することは、損失があまりに大きくほとんどあり得ないが、「脅威」として軍備拡張に利用されるものであること。

日本では党議拘束があるので、与党議員が安保法制に反対する可能性はほとんどなく、選挙が終わった時点で安保法制が可決されることは既定路線であり、したがって国会での議論がいくら紛糾しても、既定路線がひっくり返る可能性はゼロに近いということ。

したがって国会そのものに緊張感が生まれようもなく、残念ながらアリバイもしくは茶番に近いものであり、だからこそ居眠りする議員も出てくるのだということ。

党議拘束が禁止されるなどすれば、与党内にも緊張感や議論や折衝が生じて、国会がこれほど形骸化することは避けられるのではないかということ。

などなど。

Monday, May 25, 2015

「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明

歴史学関連16団体が出した声明の全文がネット上にあったのでコピペします。NHKの報道、まったく報じないよりはいいけど、安倍政権が怖かったのか、肝心なところが抜けてます。

この声明文のキモは、「日本軍「慰安婦」強制連行の事実には、歴史学的な根拠がある」ということであり、「朝日新聞の記事取り消しを根拠として強制連行などなかったかのように論じることは不当である」ということだと思います(僕がこれまで主張してきたことと完全に一致します)。

その声明に、会員数が2000人を超える「歴史学研究会」をはじめとした16の学術団体が賛同しているのです。しかしこの事実を、安倍政権や読売新聞や産経新聞などはたぶん黙殺することでしょう。都合の悪いことは「なかったことにする」のが歴史改ざん主義者の特徴そのものだからです。


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「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明

 『朝日新聞』による2014年8月の記事取り消しを契機として、日本軍「慰安婦」強制連行の事実が根拠を失ったかのような言動が、一部の政治家やメディアの間に見られる。われわれ日本の歴史学会・歴史教育者団体は、こうした不当な見解に対して、以下の3つの問題を指摘する。

 第一に、日本軍が「慰安婦」の強制連行に関与したことを認めた日本政府の見解表明(河野談話)は、当該記事やそのもととなった吉田清治による証言を根拠になされたものではない。したがって、記事の取り消しによって河野談話の根拠が崩れたことにはならない。強制連行された「慰安婦」の存在は、これまでに多くの史料と研究によって実証されてきた。強制連行は、たんに強引に連れ去る事例(インドネシア・スマラン、中国・山西省で確認、朝鮮半島にも多くの証言が存在)に限定されるべきではなく、本人の意思に反した連行の事例(朝鮮半島をはじめ広域で確認)も含むものと理解されるべきである。

 第二に、「慰安婦」とされた女性は、性奴隷として筆舌に尽くしがたい暴力を受けた。近年の歴史研究は、動員過程の強制性のみならず、動員された女性たちが、人権を蹂躙された性奴隷の状態に置かれていたことを明らかにしている。さらに、「慰安婦」制度と日常的な植民地支配・差別構造との連関も指摘されている。たとえ性売買の契約があったとしても、その背後には不平等で不公正な構造が存在したのであり、かかる政治的・社会的背景を捨象することは、問題の全体像から目を背けることに他ならない。

 第三に、一部マスメディアによる、「誤報」をことさらに強調した報道によって、「慰安婦」問題と関わる大学教員とその所属機関に、辞職や講義の中止を求める脅迫などの不当な攻撃が及んでいる。これは学問の自由に対する侵害であり、断じて認めるわけにはいかない。

 日本軍「慰安婦」問題に関し、事実から目をそらす無責任な態度を一部の政治家やメディアがとり続けるならば、それは日本が人権を尊重しないことを国際的に発信するに等しい。また、こうした態度が、過酷な被害に遭った日本軍性奴隷制度の被害者の尊厳を、さらに蹂躙することになる。今求められているのは、河野談話にもある、歴史研究・教育をとおして、かかる問題を記憶にとどめ、過ちをくり返さない姿勢である。

当該政治家やメディアに対し、過去の加害の事実、およびその被害者と真摯に向き合うことを、あらためて求める。

2015年5月25日

歴史学関係16団体      

日本歴史学協会     
大阪歴史学会      
九州歴史科学研究会   
専修大学歴史学会    
総合女性史学会     
朝鮮史研究会幹事会   
東京学芸大学史学会   
東京歴史科学研究会   
名古屋歴史科学研究会  
日本史研究会      
日本史攷究会      
日本思想史研究会(京都)
福島大学史学会     
歴史科学協議会     
歴史学研究会      
歴史教育者協議会   

http://www.torekiken.org/trk/blog/oshirase/20150525.html

Monday, March 09, 2015

山間部の中学3年生『選挙2』の感想


中学3年生が5人だけの、山間部にある小さな学校で社会科の先生をされている方から、次のようなメッセージをいただきました。『選挙2』を授業で見せてくださったそうです。ありがとうございました。そしてご卒業おめでとうございます!

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生徒の感想です。1名途中からという子は入試でした。彼らも明日卒業で、最後に有意義な授業ができました。中3年生全員の感想です。ありがとうございました。

映画『選挙2』を観て  

生徒1
・私は、途中からしか見られませんでしたが、おもしろかったです!
 カメラの撮影を拒否している候補者の方もいたことにちょっと疑問を持ちました。
 でも、それでも撮影していたカントクすごいなー、と思いました!
 他の人には考えつかない方法で選挙を戦っていた山内さんもすごいと思いました。
 これからも、がんばってください!

生徒2
 まず、誰に投票するというのも大切ですが選挙をしに行くことが大切だと思いました。選挙をするのに多くのお金が必要だと思っていましたが思っていたよりは、かかっておらず驚きました。選挙する人の話し方もいろいろでおもしろかったです。
 また、映画をとる人もいろいろ言われて大変だなと思いました。
 それでもとり続けていたのがすごいと思いました。
 日本のいろいろな問題をきちんと考える必要があると思いました。

生徒3
 2011年に起きた震災の直後なのに原発について、ふれているのが山内さんだけなのが、驚きました。今でもそうですが、深く考えなければいけないことを、国は後回しにしていて、目を背けている気がしました。
 確かに、投票率が低いと、落選する人も当選する人も、すべての選挙権をもっている人の意見が反映されていないなと思いました。
 まず、何より、1人1人が責任を持って選挙にいくことが大切だと思いました。
 私も選挙権をもつようになったら、雰囲気や名前で選ばず公約を1人1人見て責任のある投票をしたいです。

生徒4
 山内和彦さんへ
  周りを気にせず、自分の考えに正直なのはとても凄いと思いました。
  防護服は流石にやりすぎに感じましたが、それくらいの行動力が必要なのだと思いました。
  山内さんのような人は今の政治には必要不可欠だと思います。目標にしたいです。
  また、それを全力で協力しているさゆりさんもすばらしいと思いました。
 想田監督へ
  他の議員の方に「止めろ」と言われても撮りつづける映画へのしゅう念はすごいと思いまし   
  た。
  想田監督の他の映画も見てみたいと思いました。

生徒5
 今回選挙2を見て、たくさん考えることがありました。撮影されていた2011年、私たちは小学6年生でした。卒業式まであと少しという所で、東日本大震災がありました。(地震は5年生)その時私たちは学校にいたので、大きな津波があったことや、原発の事故があったのを知ったのは家に帰ってからでした。私のおばあちゃんは福島県に住んでいるので、すぐに電話をしたのを覚えています。次の週末に福島の家へ行き、家の片づけを手伝ったりしました。とても大変で、高校も福島に行こうと言っていたので進路も変わりました。このように、4年がたった今でも、まだまだいろんな問題がたくさんの場所でおこっています。なのに2011年の時の選挙で山内さん以外だれも原発にふれなかったのはおどろきでした。また、撮影の時に、嫌がっている議員さんがいたりしたのも、何もないとはいえ、もし私が有権者だったら一票をいれないだろうなって思ってしまいました。
 山内さんのやっていたお金をかけない、使わない選挙はとても良いことだと思いました。こんな議員さんが増えてほしいと思いました。
 これからもお体に気をつけてがんばってください!!

Thursday, February 26, 2015

ローラ・ポイトラス監督の「Citizenfour」


ローラ・ポイトラス監督の「CItizenfour」がアカデミー賞のドキュメンタリー賞を受賞しましたね。遅ればせながら、めでたい!その記念(?)に、以前メルマガに書いた文章を転載します。

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 今週は、まだ日本では公開されていない、というより、まだたぶん公開も決まっていない最新のドキュメンタリー映画をお勧めします。お勧めしてもすぐには観ることができないのがネックなのですが、たまにはこういうのもいいでしょう(笑)。

 その映画は、「Citizenfour」(2014年、アメリカ/ドイツ、ローラ・ポイトラス監督)といいます。アメリカの国家安全保障局(NSA)による大規模な市民監視プログラムの存在を暴露し、世界中を震撼させたあのエドワード・スノーデン氏についてのドキュメンタリーです。

 実は監督のローラは、僕にとっては個人的な知り合いです。というか、僕が2007年に処女作『選挙』をベルリン国際映画祭でプレミア公開する際、いろいろとアドバイスをしてくれた“先輩”です(アメリカには先輩・後輩という概念がないので彼女をこう呼ぶのも奇妙な感じがしますが)。ただ、その後何度かお会いしてはいたものの、ここ2、3年は疎遠になっていました。

 そのローラの新作がニューヨークの映画館で公開される。題材はあのスノーデンだ。そう知ったのは、この映画に僕を誘ってくれた友人のお陰です。

 「おおっ、ローラの新作か。観なくちゃ。でもスノーデンにどうやって連絡を取ったのだろう。連絡したら最後、アメリカ政府のウォッチリストに入れられちゃうな」

 などと呑気にも思った僕は、本当に間抜けでした。映画を見て遅ればせながら知ったことですが、ローラは「ウォッチリストに入れられちゃう」どころか、ウォッチリストに入っていたからこそ、この映画を撮れたのです。というより、ローラはあの大事件の「共犯者」ともいえる存在だったのです!

 ことの顛末はこうです。

 2013年、スノーデン氏は、NSAによる市民監視プログラムを内部告発するため、信頼できるジャーナリストに情報と証拠を提供したいと考えていました。そこでまずは英「ガーディアン」紙のジャーナリスト、グレン・グリーンウォルド氏に匿名のメールを出します。「重要な情報を渡したいが、このままでは検閲されてしまうので、まずはメール用の暗号プログラムをインストールしてくれ」という内容です。しかしグリーンウォルド氏は取り合いませんでした。

 そこでスノーデン氏が次にコンタクトしたのが、ローラです。

 ローラの出世作は、アメリカ占領下のイラクの生活を描き、アカデミー賞にもノミネートされた『My Country, My Country』(2006年)という作品です。彼女は本作を撮って以来、アメリカの国土安全保障省のウォッチリストに入れられ、アメリカに入国するたびに尋問を受けたりパソコンや携帯電話などを押収されたりしていました。また、ローラは2012年、別のNSAの内部告発者にインタビューした短編ドキュメンタリー『The Program』を発表していました。そのような経歴の彼女を、スノーデン氏は情報の提供先として最適だと考えたのです。

 映画の題名にもなった「Citizenfour」という名を語るスノーデン氏から連絡を受けたローラは、氏の要求通りに暗号プログラムをインストールし、コミュニケーションを開始します。同時に、グリーンウォルド氏にも事の重大性を伝え、暗号プログラムを用い、コミュニケーションに参加してもらいます。そして、2013年、ローラとグリーンヲルド氏はついに香港でスノーデン氏に面会するのです。

 つまり映画『Citizenfour』は、香港でのスノーデン氏との最初の出会いから9日間に渡る取材の過程を、リアルタイムで密着して撮ったドキュメンタリーです。

 それだけでめちゃくちゃ凄くないですか?

 僕はてっきり、スノーデン氏の告発の過程を事後的なインタビューを通じて描くような作品だと勝手に思っていたので、映画を観ながら口をあんぐり開けっぱなしでした。あの歴史に残る重大事件の真ん中にローラのカメラがあり、その顛末を「第三者」としてというよりも、当事者として記録している。ものすごい快挙です。

 覚えてらっしゃる方も多いと思いますが、あのときスノーデン氏は一気に情報を開示するのではなく、毎日少しずつ、グリーンウォルド氏の記事を通じて重大な告発をしていきましたよね。その記事が出るたびに、世界中のメディアが大騒ぎで後追い報道をする。映画には、その過程が全部映っていて、スノーデン氏とグリーンウォルド氏は世間の反応をテレビで眺めながら、「次はどういう記事を出そうか」なんてことを相談したりするのです!

 こんなドキュメンタリー、いくら頑張って撮ろうと思っても、おいそれと撮れるようなものではありません。奇跡だと思います。同時に、スノーデン氏のみならず、母国アメリカの政府を完全に敵に回してでもこの作品を作り公開したローラの勇気と鉄の意志に、感嘆せざるを得ません。

 ローラは最近、ニューヨークからベルリンへ移住しました。この作品もベルリンで編集したそうです。たしかにアメリカで編集してたら、素材を没収される可能性がありますからね。

 まあ、とにかく日本でも公開されたらぜひご覧ください。映画史上、最高傑作の部類に入る作品だと思います。