人間に迫るということが、ドキュメンタリー映画であろうがフィクション映画であろうが、いちばん大きな課題であるようだ。それを静かながら強くやっているのが想田和弘監督の『精神』である。このドキュメンタリー映画は岡山のある外来の精神科治療所の数人の患者とそこで働く医師とスタッフのポートレートであり、想田監督は素朴な撮影スタイルで丁寧に人々を描いている。タブー視したくないと患者の顔にモザイクをかけず、じっと状況を観察し、人々の話に耳を澄ませる。健常者と精神病を持つ人の間には大した距離がないことが映画から伝わり、逆に精神病を嫌がりタブー化する社会が病んでいるのではないかという問いが自分の中で生まれる。それでも匿名ではなくフランクにカメラの前で自分の病いを語る患者の勇気には圧倒された。日本では初夏より公開が決まっているが、そうすると登場している人々たちは社会と強く向き合う必要があるだろう。それは危険じゃないかという日本人の観客の質問に対して監督は覚悟の上で映画を作ったと語る。この映画に登場してもらうまでに患者の人々と築く信頼関係、何度も登場を迷う患者、一ヶ月間で撮った素材を10ヶ月間もかけて編集し、そういうプロセスを重ねて来た映画だからこそ、揺るげないコミュニケーションが起きるのだろう。人を見つめるというやさしく強い眼差しがこの映画にはある。
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ReplyDeleteメルマガ「neoneo」ですね。
カトちゃんさん
ReplyDeleteその通りです〜。
この映画のクリニックに実際行くにはどうしたらいいんでしょうか。親戚ですごく悩んでる人がいていままで精神科やカウンセリングなど拒否していたんですが、この間ぽつっと、この映画のクリニックの先生なら会いたいと言っていて、なるべく願いをかなえたいと想ってるんですが。ニューヨークのMOMAでの上映のときに見に行ってわたしもすごく感銘を受けました。もしも連絡先など、あちらとコンタクトをとる方法があったらすごく助かるのですが。
ReplyDeleteありがとうございます。
Equifinalityさん
ReplyDeleteそうですか…。それはご心配ですね。
映画に出て来たのは、こらーる岡山という診療所です。
ただ、最近はあまり新しい患者さんを受け付けておられないそうなので、電話でお問い合わせいただいた方がよいと思います。お大事に。
http://local.yahoo.co.jp/detail/spot/bde6511183e234e4bdd3be37683ea0b1/