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Monday, June 28, 2010

マニフェストの比較

参院選では、いつものようにニューヨークの総領事館で在外投票をする予定だ。そこで各党のマニフェストを読み比べたり、候補者のホームページを読んだりする作業を進めている。

ただ、2010年のマニフェストを比べるだけでは不十分な気がしている。特に政権の主体となっている民主党については、09年と10年のマニフェストを比べることが不可欠だろう。

で、ざっと読み比べてみて驚いた。

まず、全体的な記述の曖昧化。09年のマニフェストの方が、驚愕的なほど遥かに詳しく具体的。09年には明記されていた政策の実現にかかる金額も、10年には消えている。なぜこれほどまでに後退しているのか?大きな謎だ。

例えば、雇用に関する記述は09年では次の通り。

(09年民主党マニフェスト)
5雇用・経済

35.中小企業向けの減税を実施する
【政策目的】
○中小企業やその経営者を支援することで、経済の基盤を強化する。
【具体策】
○中小企業向けの法人税率を現在の18%から11%に引き下げる。
○いわゆる「1人オーナー会社(特殊支配同族会社)」の役員給与に対する損金不算入措置は廃止する。
【所要額】
2500億円程度

36.中小企業憲章の制定など、中小企業を総合的に支援する
【政策目的】
○わが国経済の基盤である中小企業の活性化を図るため、政府全体で中小企業対策に全力で取り組む。
【具体策】
○「次世代の人材育成」「公正な市場環境整備」「中小企業金融の円滑化」などを内容とする「中小企業憲章」を制定する。
○最低賃金引き上げを円滑に実施するため、中小企業への支援を行う。
○「中小企業いじめ防止法」を制定し、大企業による不当な値引きや押しつけ販売、サービスの強要など不公正な取引を禁止する。
○貸し渋り・貸しはがし対策を講じるとともに、使い勝手の良い「特別信用保証」を復活させる。
○政府系金融機関の中小企業に対する融資について、個人保証を撤廃する。
○自殺の大きな要因ともなっている連帯保証人制度について、廃止を含め、あり方を検討する。
○金融機関に対して地域への寄与度や中小企業に対する融資状況などの公開を義務付ける「地域金融円滑化法」を制定する。
○公正取引委員会の機能強化・体制充実により公正な市場環境を整備する。
○中小企業の技術開発を促進する制度の導入など総合的な起業支援策を講じることによって、「100万社起業」を目指す。

37.月額10万円の手当つき職業訓練制度により、求職者を支援する
【政策目的】
○雇用保険と生活保護の間に「第2のセーフティネット」を創設する。
○期間中に手当を支給することで、職業訓練を受けやすくする。
【具体策】
○失業給付の切れた人、雇用保険の対象外である非正規労働者、自営業を廃業した人を対象に、職業能力訓練を受けた日数に応じて「能力開発手当」を支給する。
【所要額】
5000億円程度

38.雇用保険を全ての労働者に適用する
【政策目的】
○セーフティネットを強化して、国民の安心感を高める。
○雇用保険の財政基盤を強化するとともに、雇用形態の多様化に対応する。
【具体策】
○全ての労働者を雇用保険の被保険者とする。
○雇用保険における国庫負担を、法律の本則である1/4に戻す。
○失業後1年の間は、在職中と同程度の保険料負担で医療保険に加入できるようにする。
【所要額】
3000億円程度

39.製造現場への派遣を原則禁止するなど、派遣労働者の雇用の安定を図る
【政策目的】
○雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図る。
○日本の労働力の質を高め、技術や技能の継承を容易にすることで、将来の国力を維持する。
【具体策】
○原則として製造現場への派遣を禁止する(新たな専門職制度を設ける)。
○専門業務以外の派遣労働者は常用雇用として、派遣労働者の雇用の安定を図る。
○2ヵ月以下の雇用契約については、労働者派遣を禁止する。「日雇い派遣」「スポット派遣」も原則禁止とする。
○派遣労働者と派遣先労働者の均等待遇原則を確立する。
○期間制限を超えて派遣労働者を受け入れている場合などに、派遣労働者が派遣先に直接雇用を通告できる「直接雇用みなし制度」を創設する。

40.最低賃金を引き上げる
【政策目的】
○まじめに働いている人が生計を立てられるようにし、ワーキングプアからの脱却を支援する。
【具体策】
○貧困の実態調査を行い、対策を講じる。
○最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。
○全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。
○景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。
○中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。
【所要額】
2200億円程度

41.ワークライフバランスと均等待遇を実現する
【政策目的】
○全ての労働者が1人ひとりの意識やニーズに応じて、やりがいのある仕事と充実した生活を調和させることのできる「ワークライフバランス」の実現を目指す。
【具体策】
○性別、正規・非正規にかかわらず、同じ職場で同じ仕事をしている人は同じ賃金を得られる均等待遇を実現する。
○過労死や過労自殺などを防ぎ、労働災害をなくす取り組みを強化する。


一方、10年は次の通り。
(10年民主党マニフェスト)
6雇用
2011年度中に「求職者支援制度」を法制化するとともに、
失業により住まいを失った人に対する支援を強化します。

非正規労働者や長期失業者に対して、
マンツーマンで就職を支援する体制を整備します。

高校、大学などの新卒者の就職を支援するため、専門の相談員の配置や
採用企業への奨励金支給などの対策を強化します。

同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇を均等・均衡にして、
仕事と生活の調和を進めます。


09年と10年では、詳しさが比べ物にならない。この調子で、あらゆる項目が極度に簡素化されてしまっている。

あと、前にはあったのに説明なく消えている項目にも気がついた。例えば、取調べの可視化。09年には次のように明記されているが、10年には一切記述がない。
49.取り調べの可視化で冤罪を防止する
【政策目的】
○自白の任意性をめぐる裁判の長期化を防止する。
○自白強要による冤罪を防止する。
【具体策】
○ビデオ録画等により取り調べ過程を可視化する。
【所要額】
90億円程度


09年のマニフェストは、国民との約束である。それができなかったり、変更するなら、きちんと説明すべきだろう。有権者としては、候補者と話す機会があったら、疑問をぶつけてみるのも良いだろう。

09年衆院選の民主党マニフェスト
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/txt/manifesto2009.txt

10年参院選の民主党マニフェスト
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2010/data/manifesto2010.txt

なお、映画『選挙』は参院選にぶつけて再公開中です。
http://www.laboratoryx.us/campaignjp/index.html

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