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Friday, July 05, 2013

選挙前に選挙について語れない「空気」について

今晩のJ-wave生出演中にも申し上げたのだが、「選挙前なので放送では政党名や候補者名を言えない」という放送各社の自主規制ガイドラインは全くおかしいと思う。選挙前だからこそ、報道機関は具体的な政党や候補者の政策や体質について詳報し議論すべきではないのか?

『選挙2』を試写で観て「面白かった」と言って下さったテレビやラジオ関係者も多いのだが、その多くが「でも選挙前なので取り上げにくいんですよ」と言われた。僕はこの理由には納得しかねている。『選挙2』を取り上げたからといって、公選法に違反するわけがない。現に新聞各社は取り上げている。

07年に前作『選挙』を参院選にぶつけて公開したときは、在京キー局各社は『選挙』の特集を組んでくれた。その際に「参院選前なので取り上げにくいです」と言われたことは、ほとんどなかった。この6年の間に、何が変わったのか?公選法が変わったとは聞いていない。変わったのは「空気」なのでは?

つまり、この6年の間に「選挙前に選挙や政党、候補者について語ることはタブー」という「空気」が醸造されたのではないかと疑っているのだが、それで本当にいいのだろうか?選挙前に選挙を語ることを自粛していながら、低投票率を嘆くのは自己矛盾ではないか?

日比谷図書館での『選挙』上映中止騒動もその「空気」の中で起きたように思う。そして、選挙期間中に選挙について語れないなら、人々の関心が喚起されず低投票率になるのは当たり前だろう。僕らは『選挙2』をわざと参院選にぶつけて明日から公開する。今こそ選挙について考え語り合いたいからだ。

『選挙2』は、観た後に人と語り合いたくなる映画だと自負している。観察映画は、当たり前だと思っていた風景を、あらためて観察し直すことを鑑賞者に促すからだ。明日と明後日、イメージフォーラムでは全回で舞台挨拶をする。ぜひ皆さんと選挙について、震災後の日本社会について語り合いたい。

(ツイートをまとめました)

3 comments:

  1. Anonymous12:52 AM

    こんにちは。
    この記事とは関係ありませんが、マガジン9に「恐るべき無関心」と題してお書きになったことと、週に一度くらい覗かせてもらっている、想田さんのTwitterに感じた違和感についてコメントさせていただきます。

    街頭でどのようなパフォーマンスをしたのか知りませんが、一般人は(若者含め)それほど無関心ではないと思っています、彼らは意外とクレバーな面もあり、バランスのとれた議論なら足を止める者もちらほらいるでしょう。
    ニセ・アベ首相を使ったパフォーマンス自体に、通行人が反応を硬直させたのは当然ではないでしょうか?
    まず「自民党の改憲案」に反対する理由が見え透いていませんか?例えば、『もし改憲案通れば、徴兵制が敷かれ、若者には赤紙来るよ』という理由付けとか。
    もちろん間違ってはいませんし、感情論としてはわかりますが、やはり言い方が極端すぎるのです。
    法学者の大屋雄裕氏はTwitter(https://twitter.com/takehiroohya)などで、改憲案に基づいたクイズやったり(一例では、『「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」の後半を、「禁止する」に改めることを提案している。これについて「絶対」でない以上は許容される可能性があるという主張は、正しいか。』とか)、一通りの思考を経たうえで、『改憲案はセンスないしダメだ』と意見していますが、想田さんはじめTwitterで優勢な自民党改憲案反対論者は、この最低限の思考過程すら経ていないのです。
    よって、過多に感情論すぎ、それでは映画館に足を運ぶ支持者は多くとも、街頭パフォーマンスは通じないでしょう。
    さらに言えば、想田さんは、「自民党改憲案」に限らず、改憲そのものに拒否感を持っていると感じられ、「改憲案」をちらつかえる者は誰でも、どこか冷笑的に対処している空気すら感じられます。
    街頭パフォーマンスで感じたこと諸々のことは大きな意味を持つと思いますし、想田さんも、より広いフィールドに出て、さまざまな立場の人と意見を交わしたらどうでしょうか?TVだと「朝まで生テレビ」とか。

    ちなみにTwitter意見など信じ込むのも毒です、似た者同士しか集まらない究極の閉鎖空間ですから。前回の選挙では、小沢氏の党が優勢になるとか語り合っていて、呆れかえった記憶あります。小沢の党を支持する者など、超少数派なのは「普通の」感覚もった人には自明なのに。

    繰り返しますが、一般人がそれほどまで無関心とは思いません。想田さんのパフォーマンスの方にも、相手を硬直させる要素があったのだと考えます。しかし、経験を積むことは良いことです、これが想田さんの(より広い視野を持つ人に)変わるきっかけになればと願います。

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  2. Anonymous3:05 PM

    想田さんの言われる日本人の空気というものは、僅か6年ほどの短い期間で、変わるものではないと私(75歳)は考えます。徳川幕府開府以来、400年の間「ムラ社会」の空気を吸って生きることに慣れ親しんできたのです。この空気は、明治維新、および第2次世界大戦での敗戦、という二つの大きな外圧を以ってしても、根本からは変えることは出来ませんでした。戦後の思想家である丸山政男氏の有名な論文「超国家主義の論理と真理」(著者名や題名はやや不確か)を読まれれば、日本人の空気の根源が、論理的に理解できると思います。あえてこれを要約すると、「現在」(当時は軍部が支配する社会)という平板状の円盤があってそれが上に伸びる一本の細い棒を中心にしてぐるぐると回っています。円盤の端っこにいる有象無象達が何かがやがや言うと、求心力が働いて問題点が中心に向かって責任転嫁されていき、ついには円盤の中心にいる天皇(当時は昭和天皇)に責任が集中します。勿論天皇個人が全責任を取ることはできないので、責任は上に伸びる縦軸に沿って神武天皇にまでさかのぼります。神武天皇は、高千穂の峰に降臨したイザナギとイザナミのみこと(神さま)から生まれたということになっているので、問題の責任はここで文字通りに雲散霧消します。大日本帝国憲法の第1章第1条には、「日本国ハ万世一系ノ天皇コレヲ統治ス」と書いてあり、このことが明文化されています。
    では、現在の日本国憲法はどうであるか。私が改憲をするとすれば、第1章第1条は「日本国は主権者たる国民がこれを統治する。」と変えたいと思います。統治の実効的な方法については、その時点時点での民度に従って具体的な法律を話し合って決めればよいのだと考えます。
     安部晋三氏や彼が頼りとする中央官僚は、まさに第2次大戦前の無責任体制に戻ろうとしているのであって、「美しい日本」などとは真逆ではないでしょうか。国会での安部晋三氏の曖昧模糊たる無責任答弁や、官僚の人たちの言い訳の優秀さを思い出して頂ければ、直ぐにお分かりかと思います。(因みに責任は世論に転嫁されます。我々自身にです。)安部晋三氏は「自虐史観」とかわけのわからないことを言って、中国や頼りとする米国からも顰蹙を買ったりすることはやめて、学者先生の論文をキチンと読むべきだと考えます。
     日本の悪口を言っていると取られると甚だ困るので、世界の庶民というのは、大体において似たようなものなのではないかと考えていることを付け加えます。私も日本人なので、も少し世界から尊敬されるような人間になったらどうかと言いたいだけです。
     丸山論文から68年も経過した今、丸山モデルをひっくり返して円盤の下に棒が伸びるモデルを考えたらどうでしょうか。強い求心力によって真ん中に引き寄せられるものは、debate の積み重ねによって洗練された良いものです。それが我々の次世代に向かって限りなく継承されていくのです。

     はじめの「空気」の問題に戻って、6年前と変わってはいないと考える理由は、最初の「選挙」では「自民党」が主役になっていたので、マスコミをパスしたのだと思います。山ちゃんはチバけた(岡山弁)道化役をさりげなく(?)演じていますが、主役の自民党の地元の顔役たちが、小学校の朝の体操に誠実に参加しているのなどは、本当に可愛らしく思えます。(ご本人達がこれを聞かれると怒ると思いますので言わないで下さい。) 「選挙2」では、山ちゃんは相変わらずチバけていると思いますが、完全に主役になりました。はじめはまたふざけていると思って眠くなりましたが、最後には決めて主役になりました。私が若い頃に読んだ、アルベール・カミュの「異邦人」を思い出しました。
     ところで6年前と違って、立候補者は抜群に若返り、私は「空気」は少しはきれいになったのではないかという感じがします。何故かというと撮影に抗議する人たちが、想田さんにdebate を仕掛けてきたからです。これは民主主義の芽生えであり良い兆候なのではないかと思いました。それにしても想田さんは人の嫌がることを、よく粘ってやりますねえ。想田さんの映画は全て見ており、DVD も買っています。想田さんの映画を見ていると、保守・リベラル、老いも若きも、男女の別なく、登場人物(猫も)を全部好きになれます。
    今後ともに、映画をどんどん作って下さい。

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  3. Anonymous10:14 AM

    想田和弘監督のドキュメンタリー映画「選挙2」を、名古屋シネマテークで見た。2013.7.09,19:20~。

    帰ってきて、感想文を書こうと、「想田和弘」のキーワードでインタネットを調べたら、彼のブログにたどり着いた。
    そこで「空気」について想田氏が語っている部分で、上記のような「本田雄一」の私見をreplyした。(身分を明かそうと考えたが、やり方が分からないので、”anonymous"としての reply となった。)1ヵ月ほどを過ぎた8/6(広島原爆の日)現在において、私見へのコメントはゼロである。思うに、私見は日本人にとって難しすぎるのであって、99%の日本人は私が何を言っているのか理解できないのである。(と想像する)。因みに私見で述べた「丸山政男」氏は、正しくは「丸山真男」、同じく「超国家主義の論理と真理」は、正しくは「超国家主義の論理と心理」であることが、最近に掲載された朝日新聞の記事により判明したので、ここに訂正しておきます。

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