フランスからNYに戻った。そしたら、全米でオバマ支持が急伸しているという、このニュース。
実はフランス滞在中、時差ぼけで眠れずにテレビをつけたら、たまたまCNNでオバマとヒラリーの一騎打ちディベート生中継が始まるところだった。思わず時を忘れ、最後まで食い入るように見た。1時間半にわたる論戦だったが、医療問題や経済問題等、重要政策で二人の主張はほとんど大差ない。ところが、唯一二人の立場が鮮明に別れる場面があった。それはイラク問題である。
オバマは上院で、イラク戦争開戦に反対票を投じた。ヒラリーは逆に賛成票を投じた。これは過去の事実だから、今さらどんなに頑張っても変えようがない。そして、まさにこのことが、今ヒラリーの足を引っ張っているように見えた。彼女は、「もし今ある情報をあのとき持っていたら、反対票を投じていた」と懸命に弁解するが、それは戦争という最重要問題に関する判断力の鈍さを物語るに過ぎない。弁解すれば弁解するほど、オバマの判断の正しさと、ヒラリーの判断の誤りを再認識させられるだけだ。僕は、人種問題よりも何よりも、このことがオバマ急伸の理由なのではないかと考えている。いや、そうであって欲しいとすら思う。
もちろん、イラク戦争はおろか、アフガン戦争にも大反対だった僕から言わせれば、何を今更、という感はある。しかし、アメリカ人がやっと間違いに気づき始めていることに、かすかな希望を感じてもいるのである。
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【毎日新聞:ロサンゼルス國枝すみれ】米大統領選の候補指名争いで、民主党のバラク・オバマ上院議員(46)の全米支持率が急伸。ヒラリー・クリントン上院議員(60)を初めて抜いた。クリントン陣営がオバマ氏を「黒人の候補」などと人種差を強調する作戦をとったことへの不快感から、支持者が「クリントン離れ」を起こしたとの見方が浮上している。予備選・党員集会が集中するスーパーチューズデーが始まり、両候補の激戦が展開中だ。
識者が「潮目が変わった」と見るのが、先月26日に投開票されたサウスカロライナ州予備選。形勢不利と見たクリントン陣営は、夫のビル・クリントン前大統領らが人種に関する発言を繰り返した。例えば前大統領は「この州は(黒人指導者の)ジェシー・ジャクソン師が予備選で勝った州だ」と発言。白人に好感度が低い同師とオバマ氏を同列に並べた。「オバマ氏は黒人だけが支持する候補」との印象を与え、白人票を離反させる作戦だ。
この戦略は裏目に出た。ケネディ元大統領の実弟、エドワード・ケネディ上院議員がオバマ氏支持を表明したのも、クリントン陣営の「人種作戦」が原因とされる。米メディアは「ケネディ議員が前大統領に電話で警告したところ、言い訳され激怒した」と伝えた。
さらに、前大統領を「初の黒人大統領」と支持した黒人ノーベル賞作家トニ・モリスンさんがオバマ氏支持を表明。「くら替え」が注目された。
一般の民主党員も高学歴のリベラル派や黒人層を中心に「クリントン離れ」を起こしたとの見方がある。党員でロサンゼルスのCM制作者、フレッド・ルイスさん(36)は「クリントン夫婦は汚い手を使った。夫婦に献金を続けてきたが、もう縁を切る」と憤る。
著名人も次々とオバマ氏支持を表明。両候補激戦の一因となった。ケネディ元大統領の長女、キャロラインさん▽歌手のスティービー・ワンダーさん▽俳優のロバート・デニーロさん−−らがオバマ氏の集会に登場した。
一方、クリントン陣営は現在、人種差を強調する作戦は中止し、イメージ回復を図る。有名人では俳優のジャック・ニコルソンさんが支持を表明した。
パット・ブラウン公共政策研究所のハイミー・レガラード代表は「クリントン陣営は計算間違いをしたのではないか。メディアもオバマ寄りに変化したようだ」と分析した。
CNNテレビの4日発表の全米世論調査では、オバマ氏が49%でクリントン氏(46%)を初めて抜いた。
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