Saturday, March 16, 2013

TPPと農業と新自由主義

くどいようですけど、北海道の農業の7割が廃業に追い込まれ、沖縄のコメやサトウキビが100%全滅し、日本の農林水産物全体の4割が壊滅する(つまり農家や漁師や林業の4割が失業する)という試算が出ているのに、それでもTPPを推進する「国益」って、いったいなんですか?

「道の試算では関税撤廃の例外が実現しなかった場合、道内農家の7割が営農を続けられなくなる」(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/449610.html

「県内の農水産業も壊滅的な打撃を受けることになる。県の試算によると、農産物のサトウキビ、乳製品、コメは輸入品などに100%取って代わられる。産業そのものが消滅してしまう事態である。パイナップルや牛肉、豚肉も生産減少率が80~70%と高い。水産物ではカツオ・マグロ、車エビ、イカなどが90%。産業として立ちゆかなくなる恐れが出てくる。農産物と水産物を合わせると、生産減少率は53・1%(580億円)となる。波及効果まで勘案すると、影響額は1422億円に上る。県内のサトウキビ生産農家約1万7千戸、工場従事者約1300人の雇用に深刻な影響を及ぼす。特にサトウキビが基幹産業の離島は経済活動が成り立たなくなり、島が存続するかどうかの岐路に立たされると言っても過言ではない。」(沖縄タイムス)
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-03-16_46591

「海外から安い輸入品が増えるため、農林水産物の生産額が現在の約4割に相当する3.0兆円減るが、輸出増加や消費拡大が補うとした。」(毎日新聞)
http://sp.mainichi.jp/m/news.html?cid=20130316k0000m010058000c&inb=sns

TPPで農林水産物の生産力、今の四割減だよ、四割減!

みんな、ホントに分かってんの?!「攻めの農業」で農業を復活させるというなら、なんで四割も減るんだよ。完全に矛盾している。

自国の農林水産業の生産力が四割も減ると試算を自ら出しながら、なおかつTPPに参加する首相。それを支持してしまうメディアや日本人。

これ、単純に考えて農地の4割が荒廃するってことです。

そしてそれをみんなで許容しちゃうってことです。

日本という国は、自国で食べ物を作ることを放棄した、っていうことです。

想像しにくいかもしれないけど、TPPに入れば、政府の試算ですら少なくとも国産品の4割は店頭から消えるんだよ。

日本人はそのことをイメージできているのだろうか?

たぶん、「農林水産業は四割減るけど、輸出増加等で全体的には0.66%(!)GDPが増える」という説明を聞いて、「ああ、全体的には微増するのか、それならいいや」と数字だけ見て納得しちゃう人が多いのだろう。

数字だけで判断すると本質を見誤ることの見本のような例。

そもそも、TPP推進派などの新自由主義者が金科玉条のように言う「自由競争」ってのも、物凄くいかがわしい。だってその自由競争とやらの結果としてリーマンショックが起きたときに、自由に好き勝手やってた会社は潰れたんですか?

潰れたのはリーマンだけでしょう。他は税金で救済ですよ。

僕はあれを見て唖然としたよ。だって全然自由競争じゃないじゃん。

どころか、普段連中がダニみたいに毛嫌いしている「税金に寄生している貧乏人」の何倍の税金を使ったのか。しかも経営者はボーナスを何億円ももらう。

あんなのの、どこが自由競争なんですか。

いいですか、資本家の連中が「自由競争」と言うとき、その弱肉強食的な圧力に晒されるのは、彼らではないんですよ。彼らはその枠外にある。困ったら税金で助けてもらえるんだから。

本当に弱肉強食的な圧力に晒されるのは、99%の一般人です。それを1%が「自由競争」と呼んでいるんですよ。

そもそも、TPPがその典型例であるように、「自由競争」とやらのルールは1%が決める。99%はルールを決めるプロセスには入れてもらえない。

それで「自由に競争しようぜ」って言ったって、誰が有利かなんて最初から分かってるだろ!

興味深いのは、新自由主義的な政治家は「既得権益」という言葉を使って労組や公務員、生活保護者(!)などを攻撃するくせに、絶対に1%の富裕層へは矛先を向けないことです。なぜなら、新自由主義者は1%の究極の「既得権益」のために働いているからですよ。

それにしても、こないだの衆院選で当選した自民党議員295人のうち、205人はTPPに反対を公約してたわけで。それなのにこうなっちゃったってことは、ホントに選びようがないってことだよな。

こうなると、次の選挙では「反TPPの候補に投票しよう」ってことすら虚しくて言えなくなる。だってそうでしょう。反対議員を205人も当選させ、しかもそれで自民が与党になったっていうのに、結果は「TPP参加」なんだからさ。

つまりブレーキを踏んだらアクセルだったってことです。

7 comments:

  1. 経済への波及効果、雇用、食品の自給及び環境保全などの問題を混然と扱っており、なんとなく恐怖を煽っているだけで、TPP賛成原理主義者のそれと何ら変わらない文章。
    論点を明確にしましょう。

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  2. Anonymous6:22 AM

    1%、99%と対立を煽るようなことはやめて、いかに両者が手を取り合うかを考えるべきなのだと思います。どうしたら1%が99%に配慮するようにさせられるか、ですらなくどうしたら我々99%が1%をより支援できるかという贈与の精神が必要なのだと思います。

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  3. Anonymous11:02 AM

    私もTPP参加に全面的に賛成と言う訳ではありませんが、コメ、小麦、牛肉、乳製品、砂糖の五品目は例外品目として扱うよう交渉するということですし、それが出来なければ参加しないでしょうから、上に書かれているような試算のようなことにはならないと思います。それと、選挙でTPPに反対していたという自民党の議員のほとんどは、「例外なき関税撤廃を前提とするなら」TPP反対という立場だったように思います。

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  5. Anonymous1:27 AM

    >どうしたら1%が99%に配慮するようにさせられるか、ですらなくどうしたら我々99%が1%をより支援できるかという贈与の精神が必要なのだと思います。

    するわけないじゃん。どこまで奴隷なのかしらん。
    歴史的にエリートが簒奪して、行き着く果てに、社会全体が終わるのよ。

    これでも見てね。↓

    ジャレド・ダイアモンド 文明崩壊は何故起こるのか
    http://www.ted.com/talks/lang/ja/jared_diamond_on_why_societies_collapse.html

    >贈与の精神

    ああ、でも、沼正三「家畜人ヤプー」のような未来なら、
    それは可能かもしれないね。

    家畜人ヤプー
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%B6%E7%95%9C%E4%BA%BA%E3%83%A4%E3%83%97%E3%83%BC

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  6. まったく同感です。
    食品のことを言えば、遺伝子組み換え食品の怖さもあります。
    自宅の家庭菜園でF1の種と知らずに育てて、翌年に自生してきた苗が
    成長せずみんな結実しませんでした。GMは知ってはいましたが実際に現実のこととして初めて体験して、とても恐ろしくなりました。
    日本人は私達の命をつなぐ農業または農業を営んでいる人をないがしろにしすぎていると思います。

    自民党は明らかな公約違反です。
    TPPに参加することにより、
    社会的弱者の生活レベルが上がるんでしょうか?
    自殺者は減りますか?
    少子化は解消されますか?
    失業者は減りますか?
    国民の幸福度は上がりますか?
    TPP参加賛成の政治家の人達の発言はどれもこれこそが”机上の空論”に聞こえます。
    発言している政治家の方はまだましかと思います。それよりも怖いのは、反対していたほとんどの政治家の声が聞こえてこないことかと思います。。。




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  7. Anonymous11:19 AM

    >こないだの衆院選で当選した自民党議員295人のうち、205人はTPPに反対を公約してたわけで。

    いえ違います。
    『「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。』ですよ。
    監督の言い分は間違い、あるいはウソとなります。
    誠実であろうとするなら訂正しましょう。

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