Sunday, August 30, 2009

この世の鉄則

祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらわす
おごれる人も久しからず
ただ春の世の夢のごとし
たけき者も遂には滅びぬ
偏に風の前の塵に同じ

衆院選の結果を見ながら、平家物語の冒頭が頭の中で反復される。
結局、今回の選挙はそれに尽きるのではないか。

要するに、平家物語の頃から、いや、それ以前からずっとこの世を支配してきた鉄則が、今回も冷徹に適用されたというだけのこと。驚くことでも、新しいことでもない。新しいと感じるなら、それは僕らが歴史的な健忘症にかかっているだけなのである。

盛者必衰の法則はもちろん、大勝した民主党にも当てはまる。
いや、圧勝してしまっただけに、これからが大変である。

大勝の後は、大敗が待っている。
そのことは、自民党が身を以て証明してくれた。

Interview on BBC

Now you can listen to my comments on Japanese general election on BBC Radio's "The World Today." My interview segment starts around 27 minutes into the program.

昨晩、BBCのラジオで今回の衆議院選挙についてコメントしました。下記のサイトで聴けます。番組に入って27分目くらいです。

http://www.bbc.co.uk/programmes/p0041m3s#synopsis

Friday, August 28, 2009

『精神』in 広島・仙台

8/29(土)から、広島の横川シネマと仙台のチネ・ラヴィータでも『精神』の公開が始まります。

横川シネマ(13:30/16:00/18:30)
http://yokogawa-cine.jugem.jp/

チネ・ラヴィータ(10:30/21:00)
http://forum-movie.net/sendai/timetable.html

それから、8/30の投票日(日本時間)に、BBCのラジオ「World Today」に出演し、今回の衆議院選挙についてコメントする予定です。
http://www.bbc.co.uk/worldservice/

『選挙』も各地で上映中!
http://www.laboratoryx.us/campaignjp/screenings.html

Wednesday, August 26, 2009

グリーンな電力

数年前の日記にも書いたが、ニューヨークの自宅では、風力と水力(非ダム)で発電された電気だけを購入して使っている。

今年も契約更新の案内がきた。これで4年目だ。

ニューヨークの平均的な家庭の電力のソースの内訳は、
石炭18%
原子力29%
石油12%
天然ガス22%
水力17%
その他2%
だそうだ。

しかしウチは電力会社と特別な契約をしているので、
風力35%
水力65%(川の流れを使う=非ダム)
になる。

とはいえ、別にウチに特別な電線が引かれているわけではない。だから、風のないときに電力が弱まったりとか、そういう問題も無い。

では、どういう仕組みかというと、ウチが使う分の電力を、電力会社は風力発電所や水力発電所から買うことが義務づけられている。だから、実質的にウチの電力はグリーンだというわけ。

普通の電力よりキロワット当たり1セントだけ料金は高め(13.1 Cents/kWh)だけど、わが家の生活だけでも原発や石炭、石油に依存せずに済むのは気分が良い。原発推進派がよく使う「自分も原発で発電された電力を使っておきながら、原発に反対するな」という常套句にも反論しやすい。

日本にも似た様な仕組みができつつあるようだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/グリーン電力証書

http://www.energygreen.co.jp/

Monday, August 24, 2009

森達也『リアル共同幻想論』と『選挙』

森達也さんが、連載中の『リアル共同幻想論』で、拙作『選挙』などを素材に公職選挙法について論じている(僕との会話もちょっと出てる:森ファンとしては、何となく嬉しい)。
http://diamond.jp/series/mori/10026/

公職選挙法の問題を、共同幻想という視点から論じたのは、森さんらしい鋭い視点だと思う。公職選挙法自体も矛盾だらけの悪法だけれど、それと同じくらい問題なのは、それに抵触するのを恐れて、何もかも自主規制してしまう日本人なのではないか。

記事によると、森さんが特定の候補者を応援しているという理由だけで、あるテレビ局は森さんの出演をキャンセルしたという。これは、放送局が法解釈を厳密に行ったというわけではなく、ちょっとでも危険性があることは念のためにやめておこうという、過剰な安全策に過ぎないと思う。(もしくは、政治的な意図を疑ってしまう。)それは、道ゆく人やら看板やら、何でもかんでもモザイクをかけてしまうのと同じ心理であり、まさに共同幻想である。

実は、『選挙』を07年に日本公開する際、参議院選挙にぶつけてロードショーをしたかったので、僕らも公職選挙法との兼ね合いについては随分と心配をし、弁護士にも相談した。弁護士の答えは、合法だけれども、警察のさじ加減ひとつで問題視したりしなかったりするので、100%は太鼓判を押せない、という趣旨だったと記憶している。まあ、この時点で、たいていの放送局や配給会社なら「じゃあ、やめておこう」と思うのだろう。

けれども、『選挙』は特定の候補者や政党を応援しているわけでも、批判しているわけでもない。筋論から言えば、問題があるはずがないのである。

僕らは、「お上」から難癖がついたら、その是非を世論に問いかけ、社会問題化させてしまおうと腹をくくった。そしたら客も入るし(笑)。それがこじれて上映中止になったり、逮捕者が出たりするなら、それも面白いじゃないか。そう考えて、公開に踏み切った(ちなみに弁護士によると、逮捕されるとしたら、それは映画の作り手ではなくて映画館主など興行側だそうです 笑)。覚悟してからは、問題化することを半ば心待ちにした。

結局、残念ながら?お上からは警告も何も来なかった。

その『選挙』、ただいま復活ロードショー中です。もちろん、選挙期間中も上映しています(笑)。
http://www.laboratoryx.us/campaignjp/screenings.html

Sunday, August 23, 2009

在外投票

昨日はニューヨーク総領事館まで、カミさんと一緒に在外投票へ行って来た。

4年前のいわゆる「郵政選挙」のとき、世論が極端に自民党支持に傾き、僕の周りでも普段は自民党に批判的な人まで「今回は小泉に入れる」と言っていた。それを眺めながら、「どうして日本人はこうも流され易いんだ?危ないなあ」と思っていたのだが、今回は全く白と黒が反転し、民主党の一人勝ちになりそうで、またまた「危ないなあ」と危機感を募らせている。

僕は、様々な失政が続いた政権はその座を明け渡すべきだと考えているし、そうした「責任を取る」というプロセス無しには民主主義という「最悪の中の最良のシステム」は、健全に機能し得ないと思っている。そして、「責任力」という自民党のキャッチフレーズが悪い冗談か自虐パロディーのようにしか聞こえない状況の中、今回の選挙で政権交代し得ないようなら、日本に未来はないとさえ思っている。

しかし、ここで忘れてならないのは、「絶対的権力は絶対的に腐敗する」という原理である。そして、権力に権力を付与するのは、民主主義というシステムにおいては、われわれ国民なのである。

実際、「自民党中心の政治と官僚組織=権力」が腐敗した原因は、戦後を通じて、国民に過剰な信任を与えられて来たからに他ならない。そして、民主党が大勝した瞬間、今度は彼らが権力を付与されるのであり、「絶対的権力は絶対的に腐敗する」という原理は、そのまま彼らに適用され始めるのである。

僕はそんなことをつらつらと考えながら、選挙後の4年間を想像しながら、投票先を決めた。

ちなみに、在外投票者は、最高裁裁判官の国民審査をできないことが分かった。これは明らかに憲法違反である。強く抗議するとともに、早急な法改正を望む。

Saturday, August 22, 2009

ヤン先生の鍼

一年くらいほぼノンストップで走り回り、心身ともに疲れきっている気がするので、昨日は行きつけの鍼の先生のところに出掛けた。中国人のヤン先生。

ヤン先生には、妻に勧められて14年以上前からお世話になっている。顔色と脈拍と舌を観るだけで、ほとんど問診もせず、どこが悪いとか説明もせずに、ニコニコしながらひょいひょいと鍼を打ってくれる。

前に夫婦で治療してもらったとき、僕はハリネズミみたいにたくさん打たれたのに、カミさんは3本(!)だけしか打たれず不満そうだった。「要するに健康だってことでしょ。良かったじゃん」とニヤニヤしながら僕は言った。妻は釈然としない顔をしていた。それが妙に可笑しかった。

ヤン先生に関しては、こんなエピソードもある。

妻が自分の健康状態に不安を抱き、戦々恐々としてながら診察してもらったとき、顔色を観ただけで「大丈夫!」と太鼓判を押された。「どうしてそう言えるんですか?」と聞いたら、「だって旦那の顔が福の相をしている。その奥さんが深刻な病気になるわけないもの」と言われたそうだ。

冗談なのか、本気なのか分からないけれど、僕はそういう「診察」は、実は極めて正確なんじゃないかと思っている。

検査が大好きなカミさんは、ヤン先生の直観的な所見には飽き足らず、不安を感じては西洋医学の検診に行くのだが、その度に影か何かが見つかって再検査、再検査と、より機器や検査の精度を増しながら繰り返し、最終的には「どこも悪くないみたい…」と煮え切らない結果に終わる。

西洋医学は部分しか観ないのに対し、ヤン先生は全体を観ているのだろう。

まあ、とにかくそういうヤン先生に診てもらった。「健康そうだね!」とニコニコしながら、全身にくまなく鍼を打たれた。

Friday, August 21, 2009

『選挙』公開ラッシュ!

衆議院選挙がヒートアップしています。そこでぜひ映画館で観ていただきたいのが(笑)、横浜ニューテアトルで復活ロードショー中の映画『選挙』です。

2005年の「郵政選挙」直後に行われた川崎市議会議員補欠選挙。当時は小泉自民党の絶頂期であるにも関わらず、今のこの事態を暗示するかのような選挙戦の成り行き。今観ると、新しい視点で観れると思います。

8/22からは、岐阜・大垣コロナシネマワールド、大阪・第七藝術劇場(アンコール)、広島・横川シネマ、佐賀・シアター・シエマでも上映が始まります。23日からは、京都みなみ会館でも上映開始。
http://www.laboratoryx.us/campaignjp/screenings.html

『精神』は渋谷・シアター・イメージフォーラムで11週目に突入。超ロングランの予感です。上映館も函館などで追加されましたので、要チェック!
http://www.laboratoryx.us/mentaljp/theater.php

Tuesday, August 18, 2009

いよいよ歴史的な選挙

衆議院選挙が公示日を迎えました。僕もニューヨーク総領事館で投票します。比例のみならず、選挙区でも投票できます。

各党のマニフェストは、ネットでダウンロードできます。いま、読み比べています。どの党も自分の考えと完全に一致するわけではないので、選挙区と比例を使い分けて、投票しようと思っています。自分の意志を示すことが大事だと思います。

衆議院選挙に関して、BBCニュースに僕の発言が載りました。英語です。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8204994.stm

これは、先日の朝日新聞に載った「私のマニフェスト」。
http://www.asahi.com/special/09016/TKY200908030248.html

こちらは、2年前に東京新聞に載った「即興政治論」。
http://www.tokyo-np.co.jp/hold/sokkyo/news/200707/CK2007071702033118.html

『選挙』も復活ロードショー中!劇場情報はこちらへ。
http://www.laboratoryx.us/campaignjp/screenings.html

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I'm quoted by BBC News about the national election coming up in Japan.
http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8204994.stm

Monday, August 17, 2009

『精神』新着記事

『精神』関連の新着記事です。

まず、8/13朝日新聞夕刊の「窓」というコラムで、『精神』が取り上げられました。

また、8/15発行の『ビッグイシュー』に3ページにわたる僕のインタビューが載っています。
http://www.bigissue.jp/latest/index.html

8/16の中日新聞には拙著『精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける』(中央法規)の書評が載りました。


Friday, August 14, 2009

大阪・七藝でも緊急企画!

8/16(日)、大阪・第七芸術劇場でも、10:00回の上映後に舞台挨拶を行うことが、急遽決定しました。16日って、NY行きの飛行機に乗る日じゃん…(汗)

七藝では、早々に『精神』の追加アンコール上映が決定。
9/5(土)20:30(~22:45終)
9/6(日)~9/11(金)20:00(~22:20終)

『選挙』もアンコール上映が決まりました。
8/22(土)~8/28(金)20:55(~23:00)
※8/23(日)休映

http://www.nanagei.com/

Wednesday, August 12, 2009

神戸で『精神』舞台挨拶、など

8/15(土)から神戸アートビレッジセンターで、『精神』が公開になります。その初日に質疑応答もします。10:30/16:25の回上映終了後!僕は直後にニューヨークに帰るので、これが今回最後の舞台挨拶になります。
http://kavc.or.jp/

東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムでは、今週の土曜日から10週目に入ります!超ロングラン続行中。

岡山・シネマクレールでも5週目に入りますが、好調です。

大阪・第七芸術劇場と京都シネマでの上映は、8/21(金)までです。

Monday, August 10, 2009

『東洋経済』に書評

現在発売中の「週刊東洋経済」(8/15-22合併特大号)に拙著『精神病とモザイク』の書評が掲載されました。
http://www.toyokeizai.net/shop/magazine/toyo/detail/BI/f7a367fe62e35fc8af3c641822a0bc5d/


以下、全文掲載します。

書評
「精神病とモザイク タブーの世界にカメラを向ける」 想田和弘著
〜モザイクは撮影側の保身 無責任な報道を可能にする

評者 江口匡太 筑波大学大学院准教授

 赤ちゃんを産んだ母親が、家族との度重なる確執から精神的に追い詰められて混乱し、泣きやまない子どもの口を塞いで死なせてしまった。本人は悔やんでも悔やみきれない罪を一生背負うことに後で気づく。

 こうした虐待のニュースは最近よく報道される。想像してみてほしい。もし、あなたがテレビ番組の制作責任者なら、そうした過去をもつ本人を実名で素顔をそのまま報道できるだろうか。

 著者は映画監督で、現在、『精神』と題するドキュメンタリー映画を日本各地で公開している。本書はその制作過程とその後をまとめたルポである。著者はこの映画で精神病を患っている人たちを、本人の承諾を得て実名で素顔をさらけ出して、その人となりを伝えようとした。

 もし、被写体となった人に何かあったら? 病気が悪化したら? 攻撃されたら? そう考えると、モザイクをかけずに実名で報道するのはとても勇気がいる。

 だからこそ、被写体となってくれた人たちをどのように報道するのか、責任をとれるのか、真正面から向き合えるという。モザイクは被写体となった人を守るためではなく、撮影側の保身のためだと著者はいう。モザイクが乱暴で無責任な報道を可能にしてしまうのだ。

 精神病患者と健常者とを簡単に分けられるのか、というのも著者のテーマの一つだ。許可をとって撮り始めたら、患者さんではなくて診療所のスタッフだったという話が紹介されているが、その垣根は本来存在しているのか曖昧だ。モザイクのように、自分たちで勝手に境界を作って隔てているだけかもしれず、それが「病気」を過度に作り出しているのかもしれない。

 診療に長年関わってきた山本昌知医師、精神科医の斎藤環氏との対談も収められており、読み応えがある。

そうだ・かずひろ
映画監督。ニューヨーク在住。1970年生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。『選挙』で、ベルリン国際映画祭正式招待・ピーボディ賞、『精神』も日本公開前より海外映画祭での受賞多数。テロップ、ナレーション、BGM等なしの観客の自由な思考を促す映像表現(「観察映画」)が国際的に高い評価を受けている。

中央法規出版 1470円 242ページ

酒井法子さんの事件に思う

久々に日本でテレビを観ている。

酒井法子さんが逮捕された事件が、朝から晩まで、冗談かと思うくらい詳しく報じられている。NHKですら、トップニュースですよ(苦笑)。どうせあと数日で飽きて誰も報道しなくなるんだろうし、それについて書くのも加担するみたいで気が引けるのだが、あまりに酷いのでちょっと書いておく。

まず、これはあらゆる事件報道について言えることだけど、推定無罪の原則はどうなってるのだろうか。酒井さんも彼女の旦那さんも、逮捕はされたけど裁判で有罪になったわけではない。それなのに、テレビも新聞もネットも、周りの芸能人も、彼らが有罪であることを前提に、報じたりコメントしたりしている。

逮捕だけで有罪なら、裁判はいらない。法治国家の原則が崩れているというか、そもそも守ろうとすらされていない。

「だって本人が自白してるし」などというのは理由にならない。実際、強引に「自白」をさせた結果、冤罪事件が起きているのである。

足利事件でも、事件発生時にはメディアは菅家さんを犯人と決めつけた報道をした。そのくせ、冤罪だと分かったら一転して警察や検察を批判する。報道機関の責任や主体性をどう考えているんだろうか。

また、今回も「関係者」として証言している人のほどんとがモザイクなどで顔を隠し、声も変えている。だから言いたい放題をする。メディアも言いたい放題をさせている。言う方も、取り上げる方も、責任放棄をしている。顔を出してしゃべれないくらいなら、黙っていればいいのに。

加えて、酒井さんの報道では、クラブでDJをやっていたり、タトゥーを入れていたことが、彼女の「豹変ぶり」を示し、「覚醒剤使用」につながっていったというような取り上げられ方がされているが、これもはっきり言ってオバちゃんの噂話と同レベルである。

最初、いかにも「新発見」みたいな感じでそういう報道がなされたときには、思わず声を上げて笑ってしまった。そして次の瞬間、それがパロディでも何でもなく、大真面目な「論点」であることを認識し、物凄く嫌な気持ちがした。

まあ、酒井さんの所属事務所の記者会見の視聴率が30%を超えたらしいし、テレビ局にとっては、こういうのがカネになるんだろう。しかし、テレビを作っている人は、虚しくないんだろうか。

Wednesday, August 05, 2009

『選挙』横浜公開開始!

渋谷ライズXでの『選挙』上映は、明日(8/7、金)まで!

そして8/8(土)からは、横浜ニューテアトルで『選挙』復活公開が始まります。初日13:30の回上映後には、山さんと想田のほか、ゲストに先の都議選に出馬した女優の後藤麻衣さんをお呼びして、選挙制度とその実態について議論します。ぜひおいでください。
http://yokohamanewtheatre.web.fc2.com/index.html

お問い合せ電話番号 045-261-2995  

Tuesday, August 04, 2009

雑誌『ブレーン』に鼎談掲載

宣伝会議の雑誌『ブレーン』(9月号)に、僕も参加した鼎談が掲載されていますので、お知らせします。題して、「青山デザイン会議:こころの距離感 想田和弘×名越康文×松尾高弘」です。ご一読下さいませ。

http://www.sendenkaigi.com/hanbai/magazine/brain/

『精神』『選挙』上映館追加!

『精神』と『選挙』の上映館が増えました。

精神(滋賀と新潟が追加)
http://www.laboratoryx.us/mentaljp/theater.php

選挙(京都と広島が追加)
http://www.laboratoryx.us/campaignjp/screenings.html

Sunday, August 02, 2009

8/3(月)朝日新聞朝刊

衆議院選挙に絡み、8/3(月)朝日新聞朝刊の「私のマニフェスト」欄に登場します。別に僕が立候補するわけじゃありません(笑)。

インタビュー中には、選挙制度のことやら、精神医療のことやら、いろいろ喋ったんですが、紙幅の関係で、日本映画と地方の映画館について語ったことを中心にまとめていただいたようです。ご一読下さい。

ウェッブ版にも載りました。
http://www.asahi.com/special/09016/TKY200908030248.html

以下に全文掲載します。

〈映画監督の想田和弘さん〉

 川崎市議補選の自民党公認候補に密着したドキュメンタリー映画「選挙」を07年に制作しました。撮影を続けながら、政策論争がほとんどされない選挙戦に疑問を抱きました。候補者は自分の名前を連呼するだけで、有権者が政策を知る機会は、ほとんどない。選挙カーやポスターなど政策論争と無縁の道具に税金が使われるのもおかしいと思いました。
 芸術の分野でも、必要なところに税金が使われていないと感じます。国は117億円をかけて「国立メディア芸術総合センター」の建設を計画していますが、使い道は他にあるはずです。日本にはお金がないわけじゃない。配分が間違っているだけです。
 例えば映画なら人口10万人以上の都市にミニシアターを公設してはどうでしょうか。既にシアターがある地域なら、運営に公共性を加えて継続的な助成をする。
 日本映画はここ数年、若手の映画監督が増え、黄金時代の50年代に匹敵するほどの本数が制作されています。しかし、若手の作品を多く上映するミニシアターは赤字に苦しんでいる。地方都市では映画館の関係者がアルバイトをして何とか維持しているような館もあり、このままでは続かないのは明らかです。街にミニシアターがなくなれば、東京との文化格差は拡大し、荒廃してしまうでしょう。
 ミニシアターで上映される日本映画には海外で注目を集めるものもあり、黒澤や小津作品のように日本人像を海外に伝える役割も担っています。しかし、自国で発表の場が失われれば、日本映画は簡単に廃れてしまう。日本映画が世界に発信されなくなれば、日本人は世界で今の地位を保てません。
 映画館に通った若い人が、映画の次世代を担います。そのためには一つの巨大博物館より、小さな映画館が地方にたくさんある方がいい。そこに税金を使うことの方が文化を育てることにつながるのではないでしょうか。(聞き手 宋光祐)

    ◇

 文化支援予算 文化庁は09年度の当初予算で日本映画・映像振興の推進に約5億円を計上。補正予算で「文化芸術支援」として315億円が上乗せされ、国立メディア芸術総合センターの建設も決まった。