Monday, July 22, 2013

熱狂なきファシズム

参院選、一部に光明も見られるが、全体的には1930年代ドイツを連想する流れに日本は進んでいるように感じ戦慄が走る。ただし、現代日本のそれは熱狂を伴わない、しらけムードの、無関心・無気力なファシズムである。だから危機感の温度も低い。しかしこれはかなり危機的状況である。

自民党の改憲案は発表されてから1年以上になる。その民主主義を否定する内容を「知らない」では済まされない。だけど大半の国民は知らない。人々が無関心・無気力なまま、ずるずるとファシズムの台頭に手を貸し参加していく。世界史に恐らくそんな例がないだけに、人々の危機意識も高まりにくい。

たしかにマスメディアは酷い。大事なことを伝えない。しかし、情報がないわけではない。自分から取りに行こうと思えば、ネットだろうと、書籍だろうと、講演会だろうと、いくらでも情報源はある。でも大半の主権者は無関心・無気力であり、それを取りにいかない。だからこその選挙結果である。

タル・ベーラ監督『ニーチェの馬』という人類の終末を描いた映画がある。人間が無気力になってずるずると滅んでいくさまを描いている。それがやけにリアルなのだ。実は『選挙2』の編集しながら、あの映画のことを思い出していた。今回の選挙結果も、あの映画を連想させる。その連想に凍りつく。

4 comments:

  1. Anonymous3:31 AM

    こんにちは。
    マガジン9に「恐るべき無関心」と題してお書きになったことと、週に一度くらい覗かせてもらっている、想田さんのTwitterに感じた違和感についてコメントさせていただきます。

    街頭でどのようなパフォーマンスをしたのか知りませんが、一般人は(若者含め)それほど無関心ではないと思っています、彼らは意外とクレバーな面もあり、バランスのとれた議論なら足を止める者もちらほらいるでしょう。
    ニセ・アベ首相を使ったパフォーマンス自体に、通行人が反応を硬直させたのは当然ではないでしょうか?
    まず「自民党の改憲案」に反対する理由が見え透いていませんか?例えば、『もし改憲案通れば、徴兵制が敷かれ、若者には赤紙来るよ』という理由付けとか。
    もちろん間違ってはいませんし、感情論としてはわかりますが、やはり言い方が極端すぎるのです。
    法学者の大屋雄裕氏はTwitter(https://twitter.com/takehiroohya)などで、改憲案に基づいたクイズやったり(一例では、『「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。」の後半を、「禁止する」に改めることを提案している。これについて「絶対」でない以上は許容される可能性があるという主張は、正しいか。』とか)、一通りの思考を経たうえで、『改憲案はセンスないしダメだ』と意見していますが、想田さんはじめTwitterで優勢な自民党改憲案反対論者は、この最低限の思考過程すら経ていないのです。
    よって、過多に感情論すぎ、それでは映画館に足を運ぶ支持者は多くとも、街頭パフォーマンスは通じないでしょう。
    さらに言えば、想田さんは、「自民党改憲案」に限らず、改憲そのものに拒否感を持っていると感じられ、「改憲案」をちらつかえる者は誰でも、どこか冷笑的に対処している空気すら感じられます。
    街頭パフォーマンスで感じたこと諸々のことは大きな意味を持つと思いますし、想田さんも、より広いフィールドに出て、さまざまな立場の人と意見を交わしたらどうでしょうか?TVだと「朝まで生テレビ」とか。

    ちなみにTwitter意見など信じ込むのも毒です、似た者同士しか集まらない究極の閉鎖空間ですから。前回の選挙では、小沢氏の党が優勢になるとか語り合っていて、呆れかえった記憶あります。小沢の党を支持する者など、超少数派なのは「普通の」感覚もった人には自明なのに。
    ネットでも、こういったブログでの意見交換より、Twitterでのやり取りに夢中のようですし、「無関心」「しらけ」につながる要素は、想田さんの側にもあるのではないかと、思わざるを得ません。

    繰り返しますが、一般人がそれほどまで無関心とは思いません。想田さんのパフォーマンスの方にも、相手を硬直させる要素があったのだと考えます。しかし、経験を積むことは良いことです、これが想田さんの(より広い視野を持つ人に)変わるきっかけになればと願います。

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  2. Anonymous6:53 AM

    もし「一部の光明」が山本太郎氏当選のことを言っておられるなら、見識を疑います。
    早野龍五氏をはじめとした、地道な科学的調査とその見地を完全に無視し、
    木下黄太氏らデマをまき散らす「イエロージャーナリスト」に支えられた
    山本太郎氏の当選は、この国の有権者の良識の欠如をまざまざと見せつけられる出来事でした。

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  3. 小谷喜典3:29 AM

    山本一郎さんが当選したことを喜ぶ半面、「どうせ、早々に潰されちゃうんだろうなあ~」と、今から暗澹としてしまっている僕も「無気力・無関心」の流れに絡めとられているんでしょうね。そんな僕から見ると、TWITTER上で想田さんが堀江さんと真っ向から議論して、山本さんに加勢する姿はとても頼もしく、またカッコよく映りました。ただ、映画「ニーチェの馬」から「人間が無気力になってずるずると滅んでいくさまを描いている」という解釈を引き出していることにはちょっと違和感を覚えましたが…。

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  4. Anonymous12:28 PM

    想田監督の言っておられる「選挙民の無気力」については、同感できるところもありますが、希望は失ってはならないと考えます。
    同感できるのは、マスコミが若い人の投票率が低いと言っているからです。私は75歳の定年退職者であり若い人との会話も少ないし、白髪で眉も白いので、若い人(50歳未満)からはおじいさんだと見られます。本人は、知力・気力・体力ともにまことに充実していると自負しているのですが.(特に女性からは爺い扱いされることが多い。)
    希望を失ってはならないと思う理由は、最近の新聞で「レイシストをしばき隊」(隊は何々したい、の「たい」という願望を表わすのでしょう)、というグループを主宰する46,7歳の青年の言い分を聞いたからです。しばき隊というのは、東京の新大久保近辺で、在日韓国人に対するヘイトスピーチをする日本人の人種差別グループに対して、「お前らこそゴキブリだ」とヘイトオスピーチをやり返すグループです。主宰者の言い分をじっくりと忖度してみますと、「ヘイトスピーチをやりかえすことによって、眠っている無気力な人々をびっくりさせ、どちらに正義があるのかはっきりさせよう。」といっていると考えます。想田監督の住まわれるニューヨークでの " occupy wall street" と同じ現象が、かなり時差を置いて起こりつつあると考えられます。
    ただし、これは希望の半面であるのに過ぎないのであって、希望の本命は教育にあると考えます。それも義務教育です。10歳から15歳の小中学生に対して、「日本国憲法」は何たるかをきちんと教えて、基本的人権と個人の尊厳を教え込むことだと思います。そうして法治主義こそが民主主義の基本であることを、身に沁み込ませるのです。憲法と言えば、第9条だと直ぐに短絡して考える人のほうが多いのですが、冷戦の終わったあとでは戦争などは起こらないと考えます。尤もこの考えには、世界中の人々が、とりわけアメリカ人が、人類の歴史について思いを廻らしているという前提がありますが。
    というわけで、やがてはアメリカ人が軍備縮小を行い、それにつれて日本もタカ派の影は無くなるだろうという消極的な希望もあります。
     違う。やはり日本は自主的に民主化するべきだ。まずは教育!、教育!、教育!。安部晋三氏(その裏には、保身のみを考える官僚!)は、やがて歴史に逆行する「真逆の教育」を言い出すであろう。注意!、注意!、注意!。

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