Wednesday, February 13, 2013

キアロスタミ特集@リンカーンセンター

リンカーンセンターでキアロスタミ特集やってる。で、『クローズ・アップ』を久々に観て来たんだが、全編興奮しっぱなし。やはり映画史に残る大傑作である。事件の本物の当事者をキャストに再現をやっちゃうって、悪魔的な思いつきだが天才過ぎる。

特集2本目は『そして人生は続く』を10年ぶりくらいに観た。オンボロ車で地震の被災地に人探しに行く図は、人生のメタファー。被災地を撮ってるのに、終始あっけらかんと楽観的なのは、紋切り型に決してはまらないキアロスタミならではの凄さ。

目の前にある状況をそのまま借りてフィクションの中に落とし込んでいくことにかけて、キアロスタミ以上に上手い監督を知らない。ドキュメンタリーを撮ることで技量と感性を磨いたのだろう。

それにしても、まだ瓦礫も片付いていない被災地で、あんな映画を撮ってしまうキアロスタミも、撮影に協力する地元の人たちも、ホント凄い。日本だったら、「不謹慎」という言葉が撮る側にも撮られる側にも浮かんで、絶対に実現しなかったと思う。

しかし、出来た映画は全く不謹慎ではないどころか、当時のイランの様子を後世に伝える優れた記録であると同時に、「生きること」の本質的で普遍的な部分を鮮やかにとらえているわけで、やはり芸術の力とは信じてよいものなのである。

http://www.filmlinc.com/films/series/a-close-up-of-abbas-kiarostami

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