Tuesday, November 20, 2012

日本維新の会の台頭と「戦争とファシズム映画祭」

石原と橋下が野合した政党が一定の支持率を獲得している。大阪で11/30から12/2まで開く「戦争とファシズム映画祭」を開催する意味が強まっている。「血を流す覚悟」を語るのは、合計9時間半の超大作戦争映画『人間の條件』を観てからにしてほしい。

「戦争とファシズム映画祭」のスタッフは、僕も含めて全員ボランティア。湯浅誠さんに誘われて、ささやかながら自分にできることは?と考えて企画し、赤字分を湯浅さんのAIBOが補ってくるからこそ実現した。大勢の皆さんに参加して欲しい。

以下、それぞれの映画についての僕のコメント。

『人間の條件』の全編9時間半が上映される機会は、極めて貴重。DVDも絶版。レンタルもほとんど出ていない。たぶんこんな映画は今や世界中の誰にも作れない。万障繰り合わせて観て下さい。11/30(金)には主演の仲代達矢さんも来て下さいます。

『カーネーションの卵』は、大人たちの戦争を子供たちの視点で描く。静謐な映像が美しい。アゴスティ監督の作品を観る機会は貴重。DVDも出てない。トークでは、ご自身の祖父も危うくファシストに銃殺されそうになったという翻訳家の野村雅夫氏と語り合う。

反体制的な映画を撮った罪で20年間の映画制作禁止と禁固6年を言い渡されたパナヒ監督の『これは映画ではない』。今や日本の表現者にとっても、彼の受難は全く人ごとではない。衝撃のラストショットも見所。トークにはイランの専門家・鈴木均氏。

教師を独裁者に見立ててルールや振る舞いを変えていくことで、制御不可能なファシズムの熱狂が形成されていく過程を描いた『THE WAVE』。ドイツが舞台なのに、大阪の状況と似ていることが多くてびっくり。ゲストにはナチズムに詳しい池田浩士氏。

オーソン・ウェルズが「ノアの方舟に映画を1本だけ載せるとしたら、この映画を選ぶ」と言った名作『大いなる幻影』。1937年に作られたが、全く古くならないどころか、今こそ意味を持つ作品。トークゲストは昔右翼団体に所属した経験もある雨宮処凛さん。

太平洋戦争中に日本軍が支配したパプア・ニューギニアの女性たちの生々しい証言。一方で「慰安所などなかった」と言う元日本軍の男性。正視したくない過去を否認する元日本軍男性の言葉が、橋下発言などとシンクロする。ゲストに本作の監督・関口祐加氏。

1974年製作のベトナム戦争についての傑作ドキュメンタリーだが、今観るとイラクやアフガンを連想してしまう。反戦運動に火をつけ『地獄の黙示録』や『プラトーン』にも影響。ゲストは「たね蒔きジャーナル」存続運動にも関わった放送作家の石井彰氏。

『ゆきゆきて、神軍』は、カメラを武器に積極的に対象へ介入していく、原一男流アクション・ドキュメンタリーの真骨頂。マイケル・ムーアのアポ無し突撃スタイルにも影響を与えた超問題作。原一男監督ご本人がゲスト。35ミリで観れるのはめっちゃ貴重!

併映短編作品『大阪!なくなる?ツアー』シリーズも充実している。橋下市長から“ムダ”と名指しされ、廃止の検討が進められている公共施設。でも本当になくしてしまっていいの?大阪生まれの大学生とフランスからの留学生が若い好奇心で訪ねてみた。

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