Tuesday, July 03, 2012

「夜」というコンセプト

さっき「文明社会の中では季節の変化に対する感性が鈍くなって一年が均質化する」ことについて書いたが、実はそれは「夜」についてもいえる。近日公開される映画『眠れぬ夜の仕事図鑑』(ニコラス・ゲイハルター監督)を観て思った。いま日本でこのツイートを読んでる人はみんなそうですが、現代人は「夜」も侵蝕されているんですよ。

「夜」は長い人類の歴史の中で、ずっと「休む時間」だったんですね。というか、休む以外になかった。真っ暗なんだもん笑。夜と昼は、全然異質な時間だったはずなんです。しかし今はどうか。あんまり関係ないですね、夜か昼かなんて。だからずっと昼間のように振るまっている。「夜」の侵蝕です。

思えば、僕は「本当の闇」というものをほとんど経験していません。唯一経験したのは、バリ島の村祭りに、現地で知り合った人に連れていってもらったときですね。道中、電気がなく月も出てないので、真っ暗闇。信じられないでしょうが、ホントに何も見えない。物凄く怖かったです。これが「闇」なのかと、初めて思った。それまで僕は「闇」のなんたるかを、知らなかったんです。

そしてそのとき初めて、僕は「妖怪」とか「魔物」にリアリティを感じました。この「真っ暗闇」の中なら、得体の知れない何かがうようよしていても全然おかしくない。むしろ想像力があれこれ膨らんでしまうわけです。

だから闇が消えたと同時に、妖怪も消えたんですよ。すべてが人間のコントロール下におかれた。

(ツイッターのつぶやきを再構成しました)

No comments:

Post a Comment

Note: Only a member of this blog may post a comment.