Monday, March 15, 2010

前衛芸術として観る

たった3日間で作ったロシア少年のチャットサイトに36億円の価値
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0315&f=it_0315_008.shtml

前衛芸術として観ると、このサイトは凄い。

何せ、世界中のウェッブ・カメラとランダムに繋がってしまう。その数、現在150万(そして日々勝手に増えている)。しかも、こっちの映像と音も同時に発信する。ハプニングとか、オートマティズムとか、チャンス・オペレーションとか、様々な芸術の運動や方法を思い起こさせると同時に、作者と鑑賞者の区別や他者との境界線を一気に溶解させてしまう。

美術館でビデオアートや実験映画を見ても、そんな画期的な光景に触れたことがない。いや、実は現代アート全般において、ほとんどは先人の作品の焼き直しで、「やり尽くした」感にため息が出そうになるのであるが、それは美術館という枠内で新しいことを追求するのに限界があるからなんだろう。

それに引き換え、このサイトのような試みは、良くも悪くも、我々のリアリティや世界観を強烈にねじ曲げる力がある。下手をすると怪我をする。刃物のような鋭さがある。本当のCutting Edgeとは、こういうのを言う。だから、ちょっとやってみただけで、妙に怖くなってやめた。

実は先日始めたツイッターでも、同じ様なことを感じた。そして、あのヨーコ・オノがツイッターのヘビー・ユーザーであることに、妙に納得したのである。

もはや芸術の最前線は美術館ではなく、ネット上にある。皮肉なのは、ロシアの少年も、サイトのユーザーも、全く芸術とは思っていないことである!

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