Monday, June 29, 2009

『鳥の飛ぶ高さ』カンゲキ(観劇/感激)

昨日は青年団国際演劇交流プロジェクト『鳥の飛ぶ高さ』を観に行った。

ミシェル・ヴィナヴェール原作、平田オリザ翻案・演出協力、アルノー・ムニエ演出の演劇である。ホントはもっと前に行きたかったのだが、『精神』の公開で忙殺され、結局最終回になってしまった。しかも開始時間を勘違いしていて、モロに遅刻!最初の20分を見逃した。何たる大ボケ、めちゃくちゃ悔しい…。

しかし、これがまた快作だったのだ!日本の便器メーカー「猿渡」がフランスの便器メーカーに乗っ取られる話で、下ネタと現代資本主義批判が渾然一体となっている。オリザ作品には極めて珍しく、唄と踊りもある。しかも最高にイケている。作曲はオリザ氏の妻で女優・歌手のひらたよーこ、作詞はオリザさんである。

『便器のサルワタリ』
雲の白さに風薫る
ヤマトの誇り、ここにあり
流れ流れるその先に、希望の大河が光るのだ
便器、便器、便器のサルワタリ、
北から南へ、すべての人が、
白い便座に腰掛ける

『世界はあなたを求めてる』
便座の輪は世界の輪、宇宙を包む神秘の楕円
眠りから覚め、いま進む、改革の時、前進の時、
世界はあなたを求めてる。あなたは世界に走り出す
輝く伝統引き継いで、便器の未来、切り開く
進め進め、世界のために、アジアのおしりを洗うのだ
開け開け技術の扉、心で磨くこの曲線
便座の輪は世界の輪、宇宙を包む神秘の楕円
マーケティングのその先に、信念の夢、未来の希望
世界はあなたを求めてる。あなたは世界に走り出す
流れる水は流々と、便器の未来、切り開く
進め進め、世界のために、アジアのおしりを洗うのだ
歌え歌え歓喜の唄を、心で磨くこの曲線

「静かな演劇」というイメージしかない人にとっては、これが平田オリザか?と良い意味で裏切られるだろう。とにかく弾けている。演出がアルノー・ムニエであるだけに、俳優の演技は平田印とは全く異なるが、こういう非オリザ的演技もできるんだなあと、彼らの技量にも感心した。

これも次回作『演劇(仮題)』の一部として撮れてたらなあと、ちょっと悔しくなった。でも、今回はどう考えてもタイミング的に無理だった。

再演を待ち望む。

http://www.seinendan.org/jpn/info/index.html

余談だが、会場で高校の3年間の担任だった恩師に、20年ぶりにバッタリお会いした!と思ったら、実は先生の息子さんが青年団の俳優さんだったのだ!そういや、同じ名字だ〜。そんなことって、あるんだなあ。世界は恐ろしいくらいにつながっている…。

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