Monday, September 08, 2008

働く日本人

日本に住んでる人は感じないのかもしれないけれど、たまに帰ってくると、日本人はなんてよく働くんだろうと感心させられる。いや、外国の人だって働く人は働くんだけど、日本人は報酬の高そうな人も低そうな人も、同じように一生懸命働くという印象がある。

例えば昨晩入ったうどん屋の店員さん。全部で20人くらいしか座れない小さなお店だけど、満員だとかなり忙しい。注文を聞いたり、料理を運んだり、会計をしたり、領収書を切ったり、盛りつけしたり、後片付けをしたり、料理を作る以外の仕事を彼女がすべて独りでこなしている。僕はカウンターに座ったので、彼女の一挙手一投足を観察できるのであるが、高度なマルチ・タスクをてきぱきと効率よく、パニックにも陥らずに、しかも丁寧にやってのける姿は感動的でさえあった。でも、店構えや値段から察するに、たぶん彼女はそう高い時給はもらっていないと思う。そして彼女のような働き手は、この国では別に珍しくもなんともない。

これがアメリカだったら、人は時給に応じた仕事しかしないのが普通だ。つまり時給700円の人は700円分しか仕事をしようとしないし、それが当然であるという姿勢。昨晩のうどん屋がアメリカにあったとしたら、あと二人は雇わないと普通に機能しないと思う。あるいは、「あと二人雇え」と現場が文句を言い、それが叶わなければ3人分の時給を要求するか、さっさと辞めていく。また、昨晩の店員さんのように仕事の出来る人は、すぐにもっと責任の重いポジションを与えられ昇給する。要するに純粋な資本主義では、仕事の内容と報酬の額は、基本的に一致するのである。

日本の場合は違う。報酬が低い人も、高い人と同じくらいの仕事の量と質を要求される。逆に言うと、いくら現場で一生懸命働いても、それがなかなか地位や給料に反映されない。雇う側や、お客さんにとっては天国のような仕組みだけれど、現場の労働者にかかる負担は並大抵ではない。

ここまで考えて、ニートと呼ばれる働きたくない人達が問題になっているのは、こういう風土に原因があるのではないかと思い至った。安い報酬でも一生懸命、長時間働くことを要求され、なかなか昇進も叶わない。もうすでにある程度の地位にある人ならいいのかもしれないけど、これから働き始めようという人には相当に厳しい現実だ。だから最初から働く気が失せてしまうのではないか。

まあ、だからといってアメリカ式が理想的かというと全然そうでもないから、難しい。時給が安いんだからと言わんばかりの横柄な態度で、全く働く気を感じさせない末端の労働者を毎日目にしていると、カネがすべてのこの社会は絶対におかしいと思わされる。

なかなかうまくはいかないものですね。

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