安保法制について「アエラ」から1時間ほど取材を受けた。僕が申し上げたのは、以下のようなポイント。
安倍政権が民主的理念やプロセスにまったく敬意を払わないことで一貫していて、したがって安保法制を通すプロセスにも重大な問題があること。
そうなることは12年に自民党改憲案が出された段階で十分に予想されたこと。
主権者の多数派は安保法制や改憲案には反対だが、安倍政権を倒そうというほどにまでは、残念ながらその点を重視していないこと。
安保法制が通ると、近い将来自衛隊は米軍の子分として「遠くの戦争」に駆り出されるであろうこと。
したがって自衛隊員の戦死者が出るなどして、最初は盛んに報道されるであろうこと。
しかしすぐにメディアも主権者にも飽きが来て、戦死者が出ても新聞のベタ記事にしかならなくなるであろうこと。
そのうちに、戦争に参加していることすら忘れ去られていくであろうこと。
そのように集団的自衛権の発動が既成事実化された上で、憲法改定の発議がなされるであろうこと。
中国と戦争することは、損失があまりに大きくほとんどあり得ないが、「脅威」として軍備拡張に利用されるものであること。
日本では党議拘束があるので、与党議員が安保法制に反対する可能性はほとんどなく、選挙が終わった時点で安保法制が可決されることは既定路線であり、したがって国会での議論がいくら紛糾しても、既定路線がひっくり返る可能性はゼロに近いということ。
したがって国会そのものに緊張感が生まれようもなく、残念ながらアリバイもしくは茶番に近いものであり、だからこそ居眠りする議員も出てくるのだということ。
党議拘束が禁止されるなどすれば、与党内にも緊張感や議論や折衝が生じて、国会がこれほど形骸化することは避けられるのではないかということ。
などなど。
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Friday, May 29, 2015
Monday, May 25, 2015
「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明
歴史学関連16団体が出した声明の全文がネット上にあったのでコピペします。NHKの報道、まったく報じないよりはいいけど、安倍政権が怖かったのか、肝心なところが抜けてます。
この声明文のキモは、「日本軍「慰安婦」強制連行の事実には、歴史学的な根拠がある」ということであり、「朝日新聞の記事取り消しを根拠として強制連行などなかったかのように論じることは不当である」ということだと思います(僕がこれまで主張してきたことと完全に一致します)。
その声明に、会員数が2000人を超える「歴史学研究会」をはじめとした16の学術団体が賛同しているのです。しかしこの事実を、安倍政権や読売新聞や産経新聞などはたぶん黙殺することでしょう。都合の悪いことは「なかったことにする」のが歴史改ざん主義者の特徴そのものだからです。
ーーー
「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明
『朝日新聞』による2014年8月の記事取り消しを契機として、日本軍「慰安婦」強制連行の事実が根拠を失ったかのような言動が、一部の政治家やメディアの間に見られる。われわれ日本の歴史学会・歴史教育者団体は、こうした不当な見解に対して、以下の3つの問題を指摘する。
第一に、日本軍が「慰安婦」の強制連行に関与したことを認めた日本政府の見解表明(河野談話)は、当該記事やそのもととなった吉田清治による証言を根拠になされたものではない。したがって、記事の取り消しによって河野談話の根拠が崩れたことにはならない。強制連行された「慰安婦」の存在は、これまでに多くの史料と研究によって実証されてきた。強制連行は、たんに強引に連れ去る事例(インドネシア・スマラン、中国・山西省で確認、朝鮮半島にも多くの証言が存在)に限定されるべきではなく、本人の意思に反した連行の事例(朝鮮半島をはじめ広域で確認)も含むものと理解されるべきである。
第二に、「慰安婦」とされた女性は、性奴隷として筆舌に尽くしがたい暴力を受けた。近年の歴史研究は、動員過程の強制性のみならず、動員された女性たちが、人権を蹂躙された性奴隷の状態に置かれていたことを明らかにしている。さらに、「慰安婦」制度と日常的な植民地支配・差別構造との連関も指摘されている。たとえ性売買の契約があったとしても、その背後には不平等で不公正な構造が存在したのであり、かかる政治的・社会的背景を捨象することは、問題の全体像から目を背けることに他ならない。
第三に、一部マスメディアによる、「誤報」をことさらに強調した報道によって、「慰安婦」問題と関わる大学教員とその所属機関に、辞職や講義の中止を求める脅迫などの不当な攻撃が及んでいる。これは学問の自由に対する侵害であり、断じて認めるわけにはいかない。
日本軍「慰安婦」問題に関し、事実から目をそらす無責任な態度を一部の政治家やメディアがとり続けるならば、それは日本が人権を尊重しないことを国際的に発信するに等しい。また、こうした態度が、過酷な被害に遭った日本軍性奴隷制度の被害者の尊厳を、さらに蹂躙することになる。今求められているのは、河野談話にもある、歴史研究・教育をとおして、かかる問題を記憶にとどめ、過ちをくり返さない姿勢である。
当該政治家やメディアに対し、過去の加害の事実、およびその被害者と真摯に向き合うことを、あらためて求める。
2015年5月25日
歴史学関係16団体
日本歴史学協会
大阪歴史学会
九州歴史科学研究会
専修大学歴史学会
総合女性史学会
朝鮮史研究会幹事会
東京学芸大学史学会
東京歴史科学研究会
名古屋歴史科学研究会
日本史研究会
日本史攷究会
日本思想史研究会(京都)
福島大学史学会
歴史科学協議会
歴史学研究会
歴史教育者協議会
http://www.torekiken.org/trk/blog/oshirase/20150525.html
この声明文のキモは、「日本軍「慰安婦」強制連行の事実には、歴史学的な根拠がある」ということであり、「朝日新聞の記事取り消しを根拠として強制連行などなかったかのように論じることは不当である」ということだと思います(僕がこれまで主張してきたことと完全に一致します)。
その声明に、会員数が2000人を超える「歴史学研究会」をはじめとした16の学術団体が賛同しているのです。しかしこの事実を、安倍政権や読売新聞や産経新聞などはたぶん黙殺することでしょう。都合の悪いことは「なかったことにする」のが歴史改ざん主義者の特徴そのものだからです。
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「慰安婦」問題に関する日本の歴史学会・歴史教育者団体の声明
『朝日新聞』による2014年8月の記事取り消しを契機として、日本軍「慰安婦」強制連行の事実が根拠を失ったかのような言動が、一部の政治家やメディアの間に見られる。われわれ日本の歴史学会・歴史教育者団体は、こうした不当な見解に対して、以下の3つの問題を指摘する。
第一に、日本軍が「慰安婦」の強制連行に関与したことを認めた日本政府の見解表明(河野談話)は、当該記事やそのもととなった吉田清治による証言を根拠になされたものではない。したがって、記事の取り消しによって河野談話の根拠が崩れたことにはならない。強制連行された「慰安婦」の存在は、これまでに多くの史料と研究によって実証されてきた。強制連行は、たんに強引に連れ去る事例(インドネシア・スマラン、中国・山西省で確認、朝鮮半島にも多くの証言が存在)に限定されるべきではなく、本人の意思に反した連行の事例(朝鮮半島をはじめ広域で確認)も含むものと理解されるべきである。
第二に、「慰安婦」とされた女性は、性奴隷として筆舌に尽くしがたい暴力を受けた。近年の歴史研究は、動員過程の強制性のみならず、動員された女性たちが、人権を蹂躙された性奴隷の状態に置かれていたことを明らかにしている。さらに、「慰安婦」制度と日常的な植民地支配・差別構造との連関も指摘されている。たとえ性売買の契約があったとしても、その背後には不平等で不公正な構造が存在したのであり、かかる政治的・社会的背景を捨象することは、問題の全体像から目を背けることに他ならない。
第三に、一部マスメディアによる、「誤報」をことさらに強調した報道によって、「慰安婦」問題と関わる大学教員とその所属機関に、辞職や講義の中止を求める脅迫などの不当な攻撃が及んでいる。これは学問の自由に対する侵害であり、断じて認めるわけにはいかない。
日本軍「慰安婦」問題に関し、事実から目をそらす無責任な態度を一部の政治家やメディアがとり続けるならば、それは日本が人権を尊重しないことを国際的に発信するに等しい。また、こうした態度が、過酷な被害に遭った日本軍性奴隷制度の被害者の尊厳を、さらに蹂躙することになる。今求められているのは、河野談話にもある、歴史研究・教育をとおして、かかる問題を記憶にとどめ、過ちをくり返さない姿勢である。
当該政治家やメディアに対し、過去の加害の事実、およびその被害者と真摯に向き合うことを、あらためて求める。
2015年5月25日
歴史学関係16団体
日本歴史学協会
大阪歴史学会
九州歴史科学研究会
専修大学歴史学会
総合女性史学会
朝鮮史研究会幹事会
東京学芸大学史学会
東京歴史科学研究会
名古屋歴史科学研究会
日本史研究会
日本史攷究会
日本思想史研究会(京都)
福島大学史学会
歴史科学協議会
歴史学研究会
歴史教育者協議会
http://www.torekiken.org/trk/blog/oshirase/20150525.html